ども、行政書士の松井です。
いつもブログで何を書こうか迷うわけですけど、決してネタがないから迷っているわけではなく、「どういうスタンスで書くか」ということについて悩むわけです。
というのも、他の先生のブログは法律上の解釈の話やら、必要書類の話やらが多いと思うのですが、一般の人からすれば小難しい話になればなるほど読むのが億劫になりますよね?
もちろん、このブログでも風営法自体の解説はやっていくつもりですが、その手の話が多いとめちゃくちゃ面白くないブログになってしまいます(^^;)
なので、できるだけ今までの事例を引っ張り出して、具体的なエピソードを主としてお伝えできれば、読んでくれている人も自分のお店と重ねてイメージしやすいのではないかなと。
というわけで、今回は年始早々の案件を引っ張りだそうと思います(^^)
ドアの位置を変えるだけで手続が必要?
昨年末頃からツーショットキャバクラを経営するお客様より相談があり、「入口のドアの場所を変えたい」という内容でした。
壁をブチ抜くわけでもなく、単純に西側にあったドアを北側に変更したいと。
そのお店はけっこう広い待合室が隣接していることもあり、客の動線を考えてのことだということでした。
ただ、ドアの位置を変更するということは、再度現場検査を受け直さなければいけない可能性が高いのです。
これを伝えると、営業者さんは
「え?ただドアの場所を変えるだけなのに検査あるの!?」
と。
そうなんです。
こんなしょうもないことで・・・と思われるかもしれませんが、風営法は構造設備を変更することについて非常にシビアな法律なんです(-_-;)
風営法の変更届と変更承認申請
風営法では許可を取った後に構造の変更自体はできるのですが、その内容によって“変更届”と“変更承認申請”の2種類に分かれます。
前者の変更届については、基本的には軽微な変更しか行わない場合の手続です。
事後報告となり、現場検査等もありません。
具体的には家具のレイアウト変更や照明設備の変更の場合です。
一方、変更承認申請は、変更を加える前に申請をする必要があります。
「変更を承認してもらう」手続ですからね。勝手にやっては絶対にいけません。
具体的な流れは、
①署に事前相談
②変更承認申請
③変更(工事)
④現場検査
⑤承認
という感じです。
変更承認申請は、軽微な変更を前提とする変更届とは異なり、工事を伴うような変更を想定しています。
また、工事を伴わなくても、客室の区切り方を変更する(お客さんに使わせる部分の変更)が生じる場合は、変更承認申請が必要となります。
では、ドアの位置の変更は?
一応工事は伴いますが、1日で終わるような簡単な内容で、今回のケースは客室面積の変動もありませんでした。
しかし、軽微な変更=変更届という扱いにはならず、変更承認申請という扱いになり、簡易的ではありますが現場検査も実施されました。
間仕切りに関する変更は変更承認になる
ドアが位置を少し変更するだけで変更承認申請となり、現場検査を受けるという大げさな事態になるのには、一応ちゃんとした根拠があるんです。
変更届で足りる軽微な変更“以外”に該当する変更事項として、条文(内閣府令)には以下のように記載されてあります。
・建築基準法第2条第14号に規定する大規模の修繕又は同条15条に規定する大規模の模様替に該当する変更
・客室の位置、数又は床面積の変更
・壁、ふすまその他営業所の内部を仕切るための設備の変更
・営業の方法に係る構造又は設備の変更
そうです。壁などの仕切りを変更する場合は軽微な変更とはみなされず、変更承認申請が必要になるわけです。
ちなみに、「営業所の内部を~」と書かれてありますので、この規定は客室内に限らずお店全体の話だということになります。
つまり、客室以外の部分である従業員更衣室や厨房、トイレ等の間仕切りを変更した場合でも原則として変更承認申請になるということです。
だいぶ前の話ですが、梅田のキャバクラで変更承認申請の事前相談を署に持っていったとき、このお店は従業員控室の入り口が以前はドアがなくのれんのような目隠しだけだったのですが、いつの間にか勝手にドアに変更しされていました。
相談事項は更衣室とは関係のない客室内の間仕切りの話だったのですが、更衣室の間仕切りを勝手に変更したことをこっぴどく怒られました(笑)
「本来ならば許可を取り消すところや」
ときつ~く言われましたが、反省文みたいなのを提出して謝り倒し、なんとか事なきを得ましたが、冷や汗ものでした(^^;)
現場検査は簡易的なものになることも
話を今回のツーショットキャバクラに戻しますが、この件に関しては事前に署に相談にいき、変更後の予定図面を提出して説明していましたので、申請までスムーズにいきました。
変更承認申請は事前相談が必須で、事前相談で「この内容なら申請していいよ」と言われてから申請します。
その後、工事着工許可の連絡があり次第、実際の変更に着手するという流れです。
今回の案件については、変更承認とはいえドアの場所が変わるだけでしたので、検査も新規申請のときのように浄化協会が来ることはなく、署の担当者が直接来て、現場確認と写真撮影だけして帰っていきました。
これがもし大がかりな工事をしたり、客室面積が変わるような変更であれば、確実に浄化協会が来て1から10まで検査し直すことになります。
このように、変更内容によっては簡易的な検査になるということもあり得ますので、事前相談の段階で担当者と相談することになります。
まとめ
今回は、ドアの位置を少し変更しただけでも再検査になったという事例を交えて、変更承認申請について解説しました。
変更届になるのか、変更承認申請が必要なのかは微妙なケースも多いので、管轄署に事前相談をしに行くことが大切です。
僕も知らないところで勝手に工事をやってしまい、警察の立入で発覚したことで元に戻させられたという事案もあります。
そうなってしまうと、とんでもなく無駄なお金と労力を使うことになりますからね(^^;)