ども、行政書士の松井です。
今回は、風俗営業許可申請に必要な添付書類について書きたいと思います。
通り一遍の必要書類については、色んな行政書士が書いていると思うんですけど、普通の人が見ると「は?」ってなるような条文コピペみたいなゴミ記事だらけなんで(笑)
もうちょっとイメージしやすいように、それぞれの書類が「なぜ必要なのか?」という部分も交えて解説していきますね(^^)
キャバクラ等の社交飲食店は基本的にはコレでOK
まず、風俗営業許可申請の中でもとりわけ件数が多いと思われる1号営業=社交飲食店を個人で申請する場合の必要書類を基本とします。
ちなみに、社交飲食店とは接待行為を伴う飲食店のことで、具体的にはキャバクラ・ラウンジ・ホストクラブのようなお店ですね。
で、大阪府では基本的に以下の書類を正しく提出すれば受理してもらえるはずです。
・営業の方法
・住民票の写し(申請者・管理者)
・身分証明書(申請者・管理者)
・欠格事項に該当しない旨の誓約書(申請者・管理者)
・営業所の賃貸契約書のコピー
・営業所の使用承諾書
・建物登記簿謄本
・建築計画概要書等の違法建築物でない旨を疎明する書類
・都市計画証明書等の用途地域を証明する書類
・営業所周辺の見取り図
・営業所の図面
→配置図、照明設備・音響設備・防音設備を示す図、求積図
身分関係の書類について
まずは申請者の身分関係の書類について解説します。
まず住民票。
これはキャバクラのような風俗営業許可申請だけでなく、深夜酒類提供飲食店の届出やデリヘル等の無店舗型性風俗特殊営業、ナイトクラブ等の特定遊興飲食店の許可申請でも必要になる基本の書類です。
この住民票については、必ず本籍地が記載されたものを用意するようにしてください。
本籍地が入っていない住民票を添付しても受理されません。
ちなみに、警察署に申請へ行くと基本的に免許証等の現住所が確認できるものを出さされて、住民票の記載されている住所と一致するかどうかチェックされますので、矛盾がないか気をつけてください!
んで、身分証明書。
10人中9.5人くらいの方が免許証のコピーだと思われますが、違います。
実は、役所で取り寄せる“身分証明書”という、れっきとした書類が存在するんですよね。
実物はこういう書類です↓↓
これは
- 禁治産又は準禁治産の宣告の通知を受けていない
- 後見の登記の通知を受けていない
- 破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていない
という内容を証明する書類です。
禁治産とか後見とかは、いわゆる事理弁識能力に乏しいことを意味します。
破産は文字通り、破産です(^^;)
そのような通知を受けている方は、そもそも風俗営業者になれませんので、この書類で疎明するということですね。
注意点として、この身分証明書は本籍地の役所でしか取得することができません。
ですので、本籍地が北海道の札幌市とかだと、札幌市役所から取り寄せないといけないんですよ。
最近はほぼ全ての役所が郵送での身分証明書の取り寄せに応じてくれていますが、手元に届くまでそれなりに時間がかかることがありますので、本籍地が遠方の方は早めに動いておいた方がいいかと思います。
ちなみに、以前は法務局で取得する「登記されていないことの証明書」という書類が必要でしたが、法改正により今は不要となっています。
誓約書関係
風営法には欠格事項というものがあり、「これに該当する方は風俗営業者になれませんよ」という規定になっています。
欠格事項についてはコチラで詳しく書いてありますので、ご自身が該当しないかどうか確認してみてください。
申請者と管理者については、この欠格事項について「自分は該当しませんよ」と誓約する必要があります。
これが、欠格事項に該当しない誓約書になります。
ちなみに、申請者=オーナー、管理者=店に常駐する店長という感覚でOKです。
申請者と管理者が同じでも構いませんので、その場合は身分関係書類や誓約書は1通ずつで足ります。
まぁ個人店だとだいたい申請者=管理者ですね。
2店舗、3店舗と出していくと、管理者を別に立てる必要が出てきますけど(管理者は兼任できない)。
また、管理者については、「業務を誠実に行います」という旨の謎の誓約書を出さされます(笑)
営業所の使用権原関係の書類
次はお店が入っている建物にまつわる書類です。
賃貸契約書のコピーというのは分かるかと思います。
使用承諾書というのは、賃貸契約書とは別に、ビルオーナーから記名押印してもらう書類で、要は「風俗営業のテナントとして使っていいですよ」という承諾をもらう書類ですね。
賃貸契約書の「使用目的」欄に風俗営業OKの旨が書かれていれば本来それでいいはずなんですけど、ほぼ全ての警察署は「賃貸契約書と使用承諾書のセット」を求めてきますね。
その建物について使用権原があるか、また使用目的についてもオーナーの許諾をもらっているかという点についての疎明になります。
また、賃貸契約書や使用承諾書に記載されているオーナーが本当であるかどうかを疎明するために、建物登記簿謄本を求められます。
登記簿謄本の所有者欄に記載されているものと同一であるかチェックされますので、事前に確認しておくべきポイントですね。
ちなみに、契約書の貸主欄と登記簿謄本の所有者欄で記載が違う場合で最も多い理由が
・転貸借(又貸し)になってる
・法人オーナーで商号や本店所在地の変更登記を怠っている
ということがあります。
前者は建物オーナーに加えて原賃借人(間に入ってる人)にも別途使用承諾書をもらう必要があります。
後者の場合は、理由書という形で矛盾を説明する書類を添付して、担当官に納得してもらう感じですね。
建物・立地関係の書類
建物自体や、その立地に関する書類も添付する必要があります。
まず、建築計画概要書等の違法建築物でない旨を疎明する書類。
これは市役所の建築指導課で取得します。
建築計画概要書とは、建物の建築確認申請の際に提出する書類で、敷地面積・建物の大きさ・高さなどが記載されており、その建物がどのような許可を受けたのかが分かる書類となっています。
この建築確認云々の話をすると、必要書類の話から大きく脱線してしまうので、別の機会に解説したいと思います(^^)
ちなみに、以前はこの建築計画概要書に加えて、建築確認台帳記載事項証明書という書類も要求する担当官もいましたが、現在は大阪府行政書士会と大阪府警との間で「建築計画概要書のみでよい」という意思確認ができていますので、両方用意する必要はありません。
次に、都市計画証明。
風営法及び条例では、風俗営業が行える地域、行えない地域を定めています。
都市計画法で定められた用途地域によっては、営業できないこともありますので、申請する建物が存在する地域について、禁止地域ではない旨を疎明するためにこのような書類を提出する必要があります。
こちらも建築計画概要書と同様に、市役所で入手できる書類です。
さらに、営業所周辺の見取り図。
これは住宅地図のことですね。
営業所の周囲に学校等の保全対象施設が存在する場合、風俗営業を営業できない場合がありますので、見取り図の中にそれらの情報も正確に盛り込むことが必要です。
保全対象施設についてはコチラで解説していますので、参考にしてください。
図面関係
用意する手間という面だけいうと、恐らく一番ボリュームがあるであろう図面。
風営法では構造要件というものがあり、法律の規定に即した構造でなければ許可がおりません。
営業所の構造を文章でツラツラ書いて提出しても、書類を見る担当者が全くイメージできませんよね?w
ですので、図面に落とし込んで添付する必要があります。
この図面上で「問題なさそう」or「まぁ現場を見ないとなんとも・・・」と判断されれば、とりあえず書類は受理されます。
もちろん、後日の立入調査時、実際に現場を見て構造要件を満たしているか判断されるわけですが、図面上明らかに基準を満たしていないというのであれば受理されません。
また、図面と実際の現場が違うとなれば、補正を指示されますし、その差があまりに大きいと最悪再検査ということになりかねません。
そうなると許可が出る日数が伸びることも考えられます。
つまり、風営法の許可申請では、
・検査に通る構造にして検査対策をきっちりやること
・適法であることが分かる正確な図面を作成して添付すること
この2点が非常に重要です。
必要な図面の種類としては、まずは配置図。
これは「ここにカウンターがあって、ここにテーブルがあって・・・」という、いわばレイアウト図ですね。
客室内に関しては、設置してある家具の寸法なども含めて正確に記載しなければいけません。
次に、照明設備図・音響設備図・防音設備図。
通常この3つは同じ図面に落とし込むのですが、「どこに何ワットのどんな照明があって、スピーカーはどこに何個あって・・・」という情報を記載するのが照明設備図と音響設備図。
また、防音設備図に関しては、防音機能に関して壁がどのような仕様になっているかを簡単な図を用いて記載しておけばOKです。
最後は求積図。
これは営業所の寸法と、床面積を表す図面です。
記載すべき情報は、営業所全体の床面積と客室(キャバクラであれば客が飲食する部分)の床面積。
それぞれの計算根拠を示すために、寸法が必要となります。
社交飲食店であれば、客室が1室のみであれば床面積は何㎡でも構わないのですが、2室以上の場合は各部屋の床面積が16.5㎡ずつ必要になります。
つまり、めちゃくちゃ狭いVIPルームは作れません。
そういった面積要件を満たしているということについても、求積図で疎明していくということですね。
その他の書類
まず、飲食店営業許可証のコピー。
キャバクラやラウンジは、風俗営業である前に飲食店です。
お酒やチャームといった“飲食物”を提供するのだから当然ですよね(^^)
ですので、前提として保健所から飲食店営業許可を受けていることを疎明するために、許可証のコピーを添付する必要があります。
ただ、現実的には1日でも早くオープンさせるために、保健所と警察への許可申請は同時進行で行う場合がほとんどだと思います。
保健所の検査を無事パスしても、許可証が発行されるまでは基本的に2週間程かかりますので、2週間待ってたらその分風俗営業許可が遅れますよね。
なので、保健所へ飲食店営業許可を申請する際に、「申請証明」をもらいます。
これは「現在、保健所へ飲食店営業許可を申請中ですよ」といった証明になります。
これを添付すれば、警察は基本的に受理してくれますので、飲食店営業許可証が発行され次第、後から追加で提出するといった流れになります。
次に、メニュー表。
メニュー表は法定添付書類(法で定められた書類)ではないのですが、たいがいの署で提出するように求められます。
ただ、こちらも申請時点において正式なメニュー表がまだできていない場合がほとんどです。
なので、弊所ではセット料金や主なドリンクメニューを教えてもらい、簡易的な仮メニュー表を作って添付します。
後日、正式なメニュー表が完成したらコピーを提出するという流れで大丈夫です。
ただし、注意点としては現地調査の時点でメニュー表をきっちり確認される場合が多いですので、検査日までには正式なメニューをお店のテーブルに置いておいて下さいね!
ちなみに、メニューの内容で警察からイチャモンをつけられたということは過去にほぼありません。
ぼったくりではなく、きちんと料金を明示して営業するということが分かれば大丈夫です。
最後に顔写真。
これは管理者の方の顔写真を用意してください。
許可が出れば許可証とは別に管理者証というカードが配布されます。
これはお店の管理者であることを証明するものなのですが、これに提出した顔写真が貼り付けらるんですよ。
もちろん、申請者=管理者であれば、ご本人の顔写真を用意してください。
サイズは縦3㎝×横2.4㎝。同じものを2枚提出します。
まとめ
今回は、風俗営業の基本的な必要書類について解説しました。
繰り返しになりますが、これはキャバクラ等の1号営業(社交飲食店等)を前提としていますので、風俗営業の種類によって過不足は生じます。
例えば、ゲームセンターやパチンコ店などの飲食を伴わない営業では飲食店営業許可証やメニュー表は当然不要ですよね。
逆に、ゲーム機のカタログや、パチンコ台の検定通知書、賞品カタログ等の独特の添付書類が求められます。
また、今回は個人申請を前提にしていますが、法人申請の場合は法人登記簿謄本や定款、身分関係書類についても役員全員のものが必要になります。
こんな感じで多少の差はありますが、この記事で解説したほとんどの書類は共通です。
参考になれば幸いです(^^)