飛田新地、松島新地などの料理店における風俗営業許可について

行政書士の松井です。

 

大阪ではかつて遊郭があった色町として飛田新地や松島新地などがあり、今は料亭として営業を続けています。

 

最近、このような新地系の風俗営業許可の相談が多いので、今回はこちらをテーマに書こうと思います。

※あくまで行政手続としてのお話で、具体的な営業内容についての可否は弊所が判断するところではありませんのでお察しを…。

飛田新地や松島新地の法的な立ち位置

 

昔遊郭であった飛田新地や松島新地などのお店の法的立ち位置ですが、結論から言えばキャバクラやホストクラブと同じく「接待行為を伴う飲食店」になります。

 

これらのお店は料亭として営業していますので、まず保健所の飲食店営業許可が必要。

 

加えて、従業員が客に接待行為(歓楽的な雰囲気をもって一緒に飲食や談笑をしたりする)をするので、風俗営業の1号許可というものを取得しなければなりません。

 

この構図はキャバクラやホストクラブと全く同じ。

 

唯一違うと言えば、一般的なキャバクラの風俗営業許可証は「社交飲食店」という営業内容が記載されているのに対し、新地は風俗営業許可証に「料理店」と記載されています。

 

このような新地には「料理組合」という管理団体が存在しますが、その名のとおり、基本的な立ち位置は飲食店であるという前提だからです。

飛田新地や松島新地は新規で風俗営業許可が取れるのか?

 

結論から言うと、取れます。

 

前述のとおり、これらの料理店は飲食店営業許可+風俗営業1号許可で成り立っているので、キャバクラやホストクラブが新規で営業許可を取れるのと同様の意味合いになるからです。

 

よく新規では取れないのではないか?と質問をされるのですが、恐らくソープランドや店舗型ヘルスのような性風俗店の手続と勘違いされているのだと思います。

 

このような店舗型の性風俗店については条例により大阪府下で新規営業が全面禁止されており、条例で禁止されるより前に届出をしていた既存店が既得権によって営業しているのみです。

 

飛田新地や松島新地は性風俗店の届出ではなく風俗営業許可になりますので、新規で申請することは可能です。

 

最近では、今の営業者が高齢になっている等の事情により、経営権を譲渡して新しい営業者の名前で許可を取りなおしたいという相談が多いです。

 

中には許可は取っているものの営業していない店もあり、比較的若い方が経営に乗り出すためにお店を買い取ったり、店舗を賃貸したいというニーズが多いように感じます。

飛田新地や松島新地の許可を取るにあたっての注意点

 

今でも新規許可が取得可能で、事業譲渡や経営者の世代交代が可能であると分かったところで、ここからは営業許可の注意点をまとめたいと思います。

 

まず、飲食店営業許可について。

 

飛田新地や松島新地では、料理店とはいえ基本的に飲み物しか出さないと思うのですが、例え飲み物だけの提供であっても飲食店としての設備基準をきっちりと満たさなければ保健所の許可が取れません。

 

具体的には、大阪府では主に

 

  • シンク(調理をする場合は2槽シンク)
  • 給湯設備(シンクからお湯が出なければいけない)
  • 手洗い設備(レバー式等のもの)
  • 扉付きの食器棚

 

といった設備が必要とされます。

 

既存のお店を設備ごと買い取ったり、厨房設備が残置物として使える場合は新たに用意するものは少ないかもしれません。

 

しかし、注意すべきは3つ目の「レバー式等の手洗い設備」です。

 

昔からシンクとは別に手洗い設備の設置は必要だったのですが、コロナ禍により設備基準が改正され、水栓は「洗浄後の手指の再汚染を防止できる構造を有するもの」が求められています。

 

具体的には、センサー式、足踏みペダル式、肘で操作できるレバー式など、蛇口に手指を触れずに水を出したり止めたりできる形状のものが必要なのですが、レバー式の水栓であればホームセンター等に売っているもので簡単に変えられますので、こちらが最も簡単かと思います。

 

次に、肝心の風俗営業許可についてです。

 

新規で許可取得可能とはいえ、飛田新地や松島新地のエリアが特段既得権で守られているわけではありませんので、申請前に周囲に保全対象施設(学校や保育所、病院等)が存在しないか必ず確認する必要があります。

 

10年以上前に取った許可で営業しているお店が多いかと思いますが、10年前とは周囲の環境は変わっていますので、保全対象施設の確認は必須です(これは新地系のお店に限った話ではなく、通常のキャバクラ等で許可を取りなおす場合も同じです)。

 

風俗営業1号許可は客室面積に規定があり、

 

客室の床面積は、和風の客室に係るものにあつては一室の床面積を九・五平方メートル以上とし、その他のものにあつては一室の床面積を十六・五平方メートル以上とすること。ただし、客室の数が一室のみである場合は、この限りでない。

 

とされています。

 

通常、新地系のお店の客室は畳敷ですので、「和風の客室」に該当しますので、各客室が9.5㎡以上確保されている必要があります。

 

※客室が1室のみの場合は面積要件はありませんが、複数の客室があるお店がほとんどだと思います。

 

既存許可のあるお店でしたら許可時はクリアしていたはずなのですが、当時から今に至るまでに間に改装等で客室面積が変わってしまっているという可能性はゼロではありません。

 

ですので、事業譲渡等で前の営業者から買い取る場合は、そのような客室面積に変更が生ずるような改装をしていないか必ず確認し、実際に客室面積を測量して計算する必要があります。

 

ちなみに…
客室面積に変更が生ずるような改装を勝手にやることは違法で、変更承認申請という手続をする必要があります。

 

また、客室の中に見通しを妨げる設備=高さ1m以上のものは設置できません。

 

悪気なく置いてる棚やコート掛けのようなものでも、高さ1以上のものは客室内はNGですので、客室の外に設置するようにしてください。

 

客室内の照度(明るさ)についても規定があり、5ルクスを超えている必要があります。

照明器具にフィルム等を貼っている場合も多いので、事前に照度はチェックしておきましょう。

 

さらに、各客室に施錠設備がついていたら検査に通りませんので、そちらも確認する必要があります。

 

営業所の外に直接通ずる出入口や、トイレ、従業員更衣室等の客室以外に施錠設備があるのは問題ありません。

 

他にも、「善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと」といった規定がありますので、営業所内に卑猥な内容の広告物等は設置できません。

 

騒音についても規制がありますので、有線放送の音楽等をスピーカーから流す場合は、営業所の外に音漏れしていないか確認する必要があります。

 

料理店の建物は主に木造なので、鉄筋や鉄骨より音漏れがしやすいです。

まとめ

今回は飛田新地や松島新地のような料理店の営業許可についてのお話でした。

 

基本的には「接待行為を伴う飲食店」なので、キャバクラやホストクラブと同じ許可手続となりますが、業種柄、昔取った許可から新しい経営者への切り替え需要が多いので、そういったシチュエーションを意識して書いてみました。

 

余談ですが、料理組合に入ると組合指定の行政書士に許可手続を依頼しなければいけないそうです…。

 

なので、必然的に弊所にご依頼頂く方は基本的に料理組合に入っていない方です(^^;

 

私も当初は組合に入らないという選択肢を知らなかったので、それもありなのか知って驚いた記憶があります。

 

事業譲渡や世代交代により許可の取り直しは、色々と留意すべき細かいポイントがありますので、新地の経営を検討されている方はまずはご相談ください。

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