東大阪市での雀荘(麻雀屋)開業における許可申請の注意点(具体的事例)

行政書士の松井です。

 

最近、立て続けに東大阪市で雀荘の許可申請業務を受任していたのですが、梅田や心斎橋といった市内の繁華街とは少々勝手が違うところも多々感じます。

 

また、飲食店営業許可も同時に取得するお店が多いと思いますが、保健所の設備基準の違いも自治体によって異なります。

 

そこで今回は、東大阪市での具体的事例をもとにした雀荘を開業する際の注意点を書き留めたいと思います。

東大阪市は飲食店営業許可の設備基準が厳しいと感じたワケ

 

雀荘の営業許可はキャバクラ等の社交飲食店営業許可とは違い、飲食店営業許可を取らなくても風俗営業許可はおります。

 

ただ、実際は雀荘といえど飲み物くらいは提供する店がほとんどだと思うので、風俗営業許可に加えて飲食店営業許可を取る必要のある店がほとんどでしょう。

 

この飲食店営業許可ですが、自治体によって許可基準が微妙に異なります。

 

同じ基準の部分であっても、どこまで厳しく言われるかも保健所によってけっこう違うんですね。

 

今回のケースでいうと、東大阪市保健所から言われた「厨房と客室の仕切り」が苦労しました。

 

普通の居酒屋などの飲食店であれば、元々の構造として客室と厨房は完全に分離している場合が多いと思うのですが、雀荘は別です。

 

四角い部屋の隅っこに最低限の厨房設備だけが備え付けられているという物件も多く、物理的に客室との境目が存在しないというパターンも多く見られます。

 

保健所によっては、必要な厨房設備が揃っており、何らかの措置を講ずることで客室と厨房を分離している形を最低限取っていれば、すんなり検査に通してくれることもあります。

 

ですが、東大阪市はこの「厨房と客室の仕切り」に対して相当シビアでした。

 

なんせ「扉をつけろ」と言われましたからね。

 

今回申請した物件は厨房と客室の境目が非常に曖昧な物件でしたので、「扉どころか壁もないんですけど・・・」って感じでしたよ。

 

法的な根拠や自治体の解釈などを詰めて、相当交渉した結果、なんとか妥協点を見つけて検査は通りましたが、保健所の検査でここまで厳しく言われるケースは珍しいですね。

 

昨今のコロナ関連の給付金等でも飲食店営業許可証の提出が求められるので、そういった面でも飲食店営業許可は取っておきたいという関連業種の方も多いと思います。

 

厨房設備等の要件を後から満たそうとすると、けっこう費用と労力がかかったりしますので注意が必要です。

雀荘が多いエリアと保全対象施設(病院)が近いので要注意

 

東大阪市で雀荘が多いエリアと言って思い浮かぶのは、近畿大学周辺ですよね。

 

マンモス校の近くで学生客を押さえれば、安定した収益が見込めるのが魅力です。

 

その近畿大学周辺の近大通りは近隣商業地域という風俗営業許可が申請できるエリアですが、少し逸れると一軒家等が立ち並ぶ住居系の用途地域となり、そこでは許可申請ができません。

 

さらに、その住居系の用途地域エリアには大きな病院が複数あります。

 

風営法には「保全対象施設」というものが定められており、病院もそのひとつ。

 

申請する営業所がこれら保全対象施設から一定の距離(大阪府の場合は基本100m、保全対象施設が商業地域内にある場合は50m)が離れていないと、風俗営業許可がおりないんですね。

 

この「保全対象施設から100m」というのが、近代通りの物件でも満たさない場所があるのです。

 

一見、メインストリートで賑わっていて、すでに許可を取って営業している雀荘も多数ある。

 

既存の雀荘の近くだし、近大通り沿いだし、許可は大丈夫だろう!と契約してしまうと、実は「病院からギリギリ100m以内だった」という事例が過去にあったようです。

 

もちろん、これは弊所が受任した事例ではありませんよ。

 

保全対象施設からの距離制限を見逃すほどアホな仕事はしません笑

 

でも、そういういい加減というか、素人のような仕事をする行政書士が過去にいたというのは事実のようで、非常に残念ですが・・・。

 

話が逸れましたが、近畿大学付近のメインストリートで雀荘もたくさんある地域でも、近くに病院が複数あるため実は許可が取れないという場所もありますので、ご注意くださいという話でした。

そのときの担当者による裁量

 

これは東大阪市に限った話ではなく、大阪市「以外」の地域で申請する場合です。

 

大阪市であれば浄化協会という組織に検査が委託されており、いつも同じ顔触れの調査員が検査に来きます(5号営業許可は除く)。

 

これは、申請の数が多すぎるがゆえに、全ての申請を署の担当者が対応することが不可能であることが理由だと思われます。

 

梅田や北新地、ミナミなどのエリアは膨大な数の風俗営業許可申請がされていますので、確かに署の担当者が全部検査に行ってたら、生活安全課としての通常業務に手が回らなくなるでしょうからね。

 

しかし、大阪市以外は浄化協会に検査を委託していません。

自前、つまり申請を受理した署の担当者自ら現場検査に来ます。

 

これが何を意味するかというと、署の担当者レベル、もっと言えば「その時の」担当者によって裁量がけっこう異なる可能性があるということです。

 

繰り返しになりますが、大阪市内は浄化協会が検査に来ますので、この裁量が一定していますし、いつも同じ顔ぶれなので弊所のようにしょっちゅう申請する行政書士からすると検査中でも「阿吽の呼吸」みたいなものがあるんですよ。

 

でも、それぞれの署で担当者レベルで変わる大阪市以外の検査では、このような裁量が一定しないのも事実。

 

そういった事情もあり、再検査になって二度手間をおかけしないために、場合によっては「確実に検査に通る」というけっこうガチガチの対策をお願いすることもあります。

まとめ

今回は、直近で東大阪市の雀荘の申請が続いたため、大阪市、特に繁華街での申請とは異なる所感を記させてもらいました。

 

しつこいようですが、東大阪市の保健所は「厨房と客室との間仕切り」にめちゃくちゃうるさいです(^^;)

 

地域についてもかなり具体的な事例となりましたが、参考になれば幸いです。

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