ガールズバーは風俗営業の許可が必要?無許可営業で逮捕されないために

ども、行政書士の松井です。

先日、ネットニュースで、風俗営業の許可がないのに従業員に接客させたとしてガールズバーの実質経営者の男ら12人が風営法違反(無許可営業)容疑で逮捕されたという報道が流れました。

 

この店はぼったくり被害者からの通報もあり、それも泥酔させた上でめちゃくちゃな額を請求するというエグイやり方をしていたようなので、警察からは相当目をつけられていたでしょうね。

 

「トランプゲームの罰ゲームなどと称して客にアルコール度数の高い酒を飲ませて泥酔させた上で、接客している女性従業員用のドリンク代名目で請求額を増やしていた」という内容が報じられていますからね。

 

一方で、逮捕された罪状は風俗営業の無許可営業です。詐欺や脅迫ではありません。

 

つまり、この記事のタイトルとも相まって、「ガールズバー=風俗営業許可が必要なの?」という疑問が沸くのではないでしょうか?

 

そこで今回は、ガールズバーと風俗営業の関係を整理したいと思います。

ガールズバーが風俗営業許可に該当するか否か

そもそも「ガールズバー」という業種は風営法で定められている業種名ではありませんので、風俗営業に該当するかどうかとういのは、どのような営業をしているのかによります。

結論を言ってしまうと、「接待行為をしていれば風俗営業に該当する」ということになります。

接待とは、「歓楽的雰囲気を醸し出す方法により客をもてなすこと」というのが法律の定義です。

 

接待行為の具体例

①特定少数の客の近くで談笑したり、お酌をする行為。

②客室や客室内の区画された場所において、ショーや歌舞音曲等を見せたり聴かせたりする行為。

③特定の客にカラオケを歌うことを勧めたり、一緒にデュエットをする行為。

④特定の客の相手となり、その身体に接触しながらダンスをさせる行為。

⑤特定少数の客と共に、遊戯・ゲーム・競技等を行う行為。

 

①と③はキャバクラ等の社交飲食店、②は舞子さんとお座敷遊びをするような料亭のような営業。

 

⑤についても客と一緒にゲームを楽しむ行為は接待になり、大阪ではアミューズメントカジノのディーラーも基本的に接待行為と解釈されています。

 

④はあまりイメージが沸きませんが、社交ダンス教室などではなく、歓楽的雰囲気の中で身体を接触しながらダンスをして客をもてなすような営業は風俗営業となります。

 

話を戻しますと、今回無許可営業で逮捕されたガールズバーは①③⑤の接待行為をしていたから無許可営業だということになります。

 

逆に言うと、このような接待行為を一切していないガールズバーであれば、風俗営業許可は必要ないということですね。

 

ただ、実際のところ世の中のガールズバーという名目で営業しているお店の大半は、このような行為をしていると思います。

 

カウンター越しであっても継続して談笑し、お酌をし、カラオケをデュエットしたり一緒にトランプゲームをしたりする。

 

ただ従業員が女性であるというだけで、これらの接待行為が一切ないショットバーをガールズバーとはあまり言いませんよね?

 

つまり、法的に言えば世の中のガールズバーのほとんどが無許可営業に該当してしまっているというのが現状です。

横に座らなければ風俗営業許可は必要ない?

よく、「横に座らなければ大丈夫ですよね?」と聞かれるのですが、先ほどの接待行為の①を再度読んでみてください。

 

法律に横に座るかどうかという文言は一切ありません。

 

つまり、横に座ろうがカウンター越しであろうが、①~⑤に該当していれば接待行為=風俗営業になるということです。

 

では、なぜ無許可で営業しているガールズバーが多いのかというと、理由は大方こんなところだと思います。

 

  • 許可を取るのに費用と時間がかかる
  • 風俗営業となると営業時間の制限を受ける
  • 周りも許可を取ってないから

 

風俗営業許可を取るとなると、申請してから2カ月近くかかりますし、行政書士に依頼する費用も20万円前後かかります。

 

また、風俗営業の営業時間は基本的に深夜0時までですので、バーとしては早すぎる閉店になるわけです。

 

さらに、前述の「横に座らなければOK」という間違った理解によって無許可店舗が多いので、「赤信号みんなで渡れば怖くない」状態になっていることも大きいと思いますね。

ガールズバー開業に必要な許可手続とは?

つまるところ、ガールズバーを開業するにはどのような許可や手続が必要なのか?

 

まず、堂々と接待行為をして営業したいという場合、飲食店営業許可+風俗営業(社交飲食店)許可を取得する必要があります。

 

 

こちらは法律的に言って本来あるべき姿。ただし、営業時間は基本的に深夜0時まで。

 

一方、接待行為なしで朝まで営業したいという場合、飲食店営業+深夜酒類営業の届出をするということになります。

 

 

ほとんどのガールズバーはこの形で営業していると思います。

無許可営業のガールズバーの多くが摘発されていない理由

今回取り上げたニュースのお店は無許可営業で逮捕されていますが、世の中には「ガールズバー」の名目で風俗営業許可が必要な営業をしているお店は数えきれないほどあります。

 

しかし、無許可営業で逮捕されている例はあまり多くありません。

 

その理由としては

  • 数が多すぎて警察も人員が足らず、対処しきれていない
  • ぼったくり等、悪質性が高い店舗を優先的に摘発している

 

とういう2つが主な原因だと思います。

 

また、同じ無許可営業でも、カウンターだけの一見接待行為なしに見えるようなお店と、ボックス席メインのあからさまな無許可キャバクラ営業のような店があったとして、限られた時間と人員を割いてどちらを優先的に摘発するかと言えば、やはり後者になるでしょう。

 

そういう意味では「横に座らなければOK説」が蔓延しているのは理解できます。

ただ、無許可営業と時間外営業を比べると、摘発されたときのリスクはあまりに大きな差があるんですよね。

 

無許可営業(深夜酒類営業で接待行為)

・2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、またはこの両方。

・5年間は風俗営業許可が取れない。管理者にもなれない

時間外営業(風俗営業で0時以降営業)

20日以上6カ月以下の営業停止命令(基準期間は40日)

 

どちらのリスクを取るのか(当然ノーリスクで営業するのが一番いいですが笑)、これらを踏まえて参考にしてもらえればと思います。

まとめ

今回は、ガールズバーの無許可営業摘発ニュースを引用しながら、ガールズバーと風俗営業許可の関係について解説してみました。

 

もちろん、営業内容は個々のお店によって異なると思いますし、一概には言えないクローズドな話だと思います。

 

なので、「こんな営業をしたいんだけど、風俗営業許可を取るべきか、深夜酒類営業の届出が、どちらがいいですか?」と個別に問い合わせてもらえれば相談に乗らせて頂きます(^^)

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