ども、行政書士の松井です。
先日(といっても1週間以上前ですが;)、兵庫県の姫路警察署へゲームセンターの許可申請をしてきました。
それなりの広さの店舗なのですが、賃貸契約を交わしてから8日で申請という、めちゃくちゃタイトなスケジュールでした(^^;)
まぁ、申請者からすれば空家賃は1日でも抑えたいですから、なる早で進めるのが弊所の信条でもあります。
風営法の許可申請をするにあたって、兵庫県と大阪府では手続上の運用が異なるところがあります。
もちろん、“法律”で決まっているところは共通なのですが、“条例”で決まっているところは都道府県によって異なるわけです。
さらに、明文化されていない実務上の運用でもけっこう異なることがあり、初めて申請する都道府県であればここが厄介だったりします。
弊所では兵庫県のクライアント様もたくさんいらっしゃいますから、今回は大阪府と比較して兵庫県での許可申請で注意するべきポイントについて触れてみたいと思います。
申請前の注意点
まず、何よりも注意するべきポイントは営業所が存在する場所が営業可能であるかどうかという点です。
兵庫県条例は、以下のとおり地域を第一種地域から第四種地域まで4つに分けています。
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域
※一定の一般国道又は主要な県道若しくは市道の側端から30メートル以内の第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域を除く
第一種地域、第三種地域及び第四種地域を除く県内全域
→つまり、①③④以外
商業地域のうち、第四種地域以外の地域
一定の繁華街(下記に記載)
この中の第一種地域では風俗営業を営業することはできません。
つまり、申請する営業所が第一種地域に存在する時点で、何があっても許可はおりません。
ちなみに、第四種地域の具体的な内容は以下のとおりです。
三宮地区 | 神戸市中央区のうち 加納町三丁目並びに中山手通一丁目及び二丁目のうち市道長田楠日尾線以南の地域、加納町四丁目、下山手通一丁目及び二丁目、北長狭通一丁目及び二丁目 |
福原地区 | 神戸市兵庫区のうち 福原町、西上橘通一丁目及び二丁目、西楠通一丁目及び二丁目、西多門通一丁目及び二丁目 |
神田新道地区 | 尼崎市のうち 昭和通四丁目及び五丁目、昭和南通四丁目及び五丁目、神田北通二丁目から四丁目まで、神田中通二丁目から四丁目まで、神田南通一丁目 |
魚町地区 | 姫路市のうち 坂元町、本町のうち国道二号以南及び市道城南二十九号線以西の地域、福中町、西二階町のうち市道城南二十九号線以西の地域、魚町、立町、塩町、十二所前町のうち市道幹第八号線以北の地域 |
残りは3つですが、イメージとして申請しやすい順に地域を並べるならば
第四種地域→第三種地域→第二種地域
という順番になります。
その理由は、保全対象施設からの距離規定にあります。
風営法では保全対象施設という概念がありまして、学校や病院など条例で決められた施設から一定以上の距離が離れている必要があります。
この保全対象施設の内容と、必要な距離が大阪府と兵庫県では違います。
当然、兵庫県以外でも同じことが言えるわけですけど、大阪府よりも兵庫県の方が少し複雑なルールとなっているんですね。
まず、兵庫県条例で定められた保全対象施設とは、以下のような施設を意味します。
-
- 学校(学校教育法第一条に規定するもの)
-
- 図書館
-
- 認可保育所・認定こども園(特定認可外保育施設型認定こども園を除く)
-
- 病院又は診療所(有床のものに限る)
これらの保全対象施設からの必要な距離というのが、営業所を第二種地域~第四種地域(第一種地域はそもそも営業不可なので)のうちどこに設置するかによって各々違ってきます。
表にするとこんな感じです。
用途地域ごとの保全対象施設からの必要な距離
場所/施設 | 学校・図書館・保育所又は認定こども園 | 病院・有床診療所 |
第二種地域 | パチンコ屋の場合は100m超、その他は70m超 | パチンコ屋の場合は70m超、その他は50m超 |
第三種地域 | パチンコ屋の場合は70m超、その他は50m超 | パチンコ屋の場合は50m超、その他は30m超 |
第四種地域 | パチンコ屋の場合は50m超、その他は30m超 | パチンコ屋の場合は30m超、その他は関係なし |
こう見ると、パチンコ屋に対してだけかなり厳しいですね(^^;)
ポイントは施設からの距離が〇〇m”超”だということ。
”以上”ではないですからね、注意してください。
また、第四種地域については病院・診療所からの距離規定がありませんので、真横に病院があっても営業できます。
まぁ、第四種地域は基本的に三宮などの繁華街になりますので、病院や有床診療所はあまり存在しないということを想定しているんでしょうけどね。
長くなりましたが、これらの場所の規制をクリアしなければ絶対に許可はおりませんので、物件の契約前によく調べておく必要があります。
申請書類の注意点
申請書類について、署によって多少対応は異なるものの、基本的に法定添付書類さえ揃っていれば受理してもらえる傾向にあります。
大阪であれば法定添付書類以外にも建築関係の書類(建築確認済書、完了検査証の写し)などが要求されますが、僕の経験上、兵庫県での申請の場合はそこについてうるさく言われたことはないですね。
ただ、1点注意があります。
最も重要な添付書類と言っても過言ではない営業所の図面ですが、求積(営業所の床面積)の取り方が大阪、特に大阪市内とは異なります。
大阪市内であれば、基本的に客室面積について詳細に計算式を示し、営業所全体の床面積については言葉どおり全体をざっくりと計算すれば問題ありません。
しかし、兵庫県の場合は、客室以外の場所についても詳細な計算根拠が求められます。
例えば、トイレの求積、事務所の求積、厨房の求積・・・と言ったように、「営業所全体で〇〇㎡」といった示し方ではなく、各部屋ごとに求積根拠を記さなければなりません。
広い店舗になると、これがけっこう大変だったりしますので、覚えておいてくださいね。
現場検査での注意点
無事、申請書が受理されれば、後日実際に現場での立入調査があり、申請内容と相違がないかを確認されます。
そこで、先ほどご説明した申請図面に沿ってチェックが進んでいくわけですが、兵庫県の検査は大阪と比べて時間がかかりやすいです。
まず、検査員の数。
大阪市内であれば、基本的に浄化協会というところから検査官がくるのですが(ゲームセンター等の5号営業は除く)、検査官2人で来て現場検査を実施します。
一方、兵庫県は浄化協会の検査官1人で来ますので、広い店舗だとけっこう時間がかかります(^^;)
あと、大阪市内の場合は客室面積を重視しますので、客室をぐるっと一周しながら寸法を測っていきますが、兵庫県の場合は計算式をひとつずつ確認しながら計算表に記載された全ての寸法をチェックして計算根拠を確認されます。
当然、客室以外の部分も全てですので、「ここは事務所だから適当に測量しといて大丈夫だろう」的な感じでやると、けっこう怒られます(笑)
また、大阪府の場合は浄化協会に検査を委託しているのが市内だけなのに対して、兵庫県は基本的に県内全域浄化協会が検査を担当しています。
そのため、検査スケジュールも柔軟に対応してもらえないことが多く、けっこう一方的に言われます(^^;)
ですので、申請中はいつ立入検査の予定が入っても大丈夫なようにしておいた方がいいと思いますよ。
まとめ
今回は、兵庫県で風俗営業許可申請をする際に注意するべき点について書いてみました。
普段は大阪府での申請を前提に記事を書いていますが、今回の姫路での仕事を機に思い立ったかのように筆を進めてしまいました(^^;)
とはいえ、今回ご紹介したような細かいポイントは変わっても基本的はところは大阪だろうと兵庫県だろうと沖縄だろうと同じです。
弊所は大阪府や兵庫県だけでなく、関西を中心に多くの地で実績がありますので、都道府県をまたいで複数店舗を出店するという方もぜひご相談頂ければと思います(^^)