デリヘルや風俗営業を営む法人は銀行口座がつくれないのか?

ども、行政書士の松井です。

 

最近、法人名義でデリヘルを開業しようとして株式会社を立ち上げたクライアント様から、「法人の銀行口座が作れなくて困っている」という相談を受けました。

 

たしかに、最近では銀行口座を新規で開設することに対して銀行の審査が厳しくなっています。

 

たとえ個人名義でも昔と比べると本人確認が厳格になっていたり、住所の最寄り以外の支店で開設しようとすると理由を細かく聞かれたりと面倒な世の中になっているのは事実です。

事業目的に性風俗や風俗営業の文言は必須か?

法人名義でデリヘル(無店舗形性風俗特殊営業)の届出をしたり、キャバクラなどの風俗営業許可を申請する際に、申請書類には法人の定款や登記簿謄本を添付します。

 

その中の「事業目的」に該当する営業の文言が入っていなければ届出が受理されなかったり許可がおりなかったりするのかと思われがちなんですが、実際はそんなことありません。

 

というか、事業目的に性風俗特殊営業や風俗営業の文言が一切入っていなくても、普通に許可はおります。

 

風営法の条文どこを見ても事業目的に関する規制はありませんので、その文言がないからといって警察は書類を受理しなかったり不許可にしたりといったことはできないんですよ。

 

キャバクラなどであれば、せいぜい「飲食店の営業」程度が入っていれば十分です。

 

デリヘルなどの性風俗営業に関しては特に関連する文言は入れる必要はありません。

 

というか、むしろ入れない方がいいです。

 

なぜなら、事業目的に風俗営業、とくに性風俗関連の文言が入っていると、銀行口座の開設が非常に厳しくなると言われているからです。

銀行の法人口座開設の審査に落ちる理由

 

銀行口座開設の審査基準というのは各銀行によって異なる部分もありますが、審査が取らない理由としては以下のような事項がよう挙げられます。

本店所在地が自宅やバーチャルオフィス

本店所在地とは、会社の住所として法務局に登記している住所です。

登記簿謄本を取れば上の方に本店所在地が載っています。

 

この本店所在地が自宅住所であったり、バーチャルオフィスやシェアオフィスである場合には審査が厳しくなることがあります。

 

なぜなら、銀行は法人口座開設の審査にあたり、「事業の実態があるか?」を非常に重視しており、法人として独立した本社住所がなければ、「この会社は大丈夫か?」となってしまいがちなんですね。

 

たとえ雑居ビルの1室であっても事務所を借りることは手間と時間がかかりますが、逆に言うと「設立したばかりだけど、そこまで実際に動いているのだから実態はありそうだ」と銀行の信用もプラスになります。

資本金が少なすぎる

会社を設立するにあたって、資本金の金額は自由に決めることができます。

 

昔は資本金1000万円以上でないと株式会社は設立することができませんでしたが、2006年4月より資本金の制限が撤廃され、今では資本金1円から株式会社を設立することが可能です。

 

とはいえ、社会通念上、あまりにも低い金額では信用が得られにくいというのも事実。

実際、資本金1円の会社が設立後すぐに銀行口座を開設するのは難しいでしょう。

 

資本金の多い・少ないの目安は業種によっても異なりますが、少なくとも100~200万円程度は準備しておいた方が

固定電話がない

これに関しては時代の流れとともに少しずつ銀行の印象も変わってきているかもしれません。

 

これだけ携帯電話を気軽に持てるようになった近年では、わざわざ固定回線をひかない事業者も多く、会社の電話番号が090や070という場合も珍しくありません。

 

ただ、銀行の立場からすると、連絡先に固定電話がないというのは、いざというときに連絡が取れにくくなることを懸念する材料になり得ます。

 

一部のネットバンクなどを除き、銀行というのは基本的に保守的な考え方だと認識していた方がいいです。

 

特に会社の電話番号=代表者の携帯番号というのは最も印象が悪いと思うので、固定電話がどうしても難しいという場合、会社専用の携帯電話は1台契約しておいた方がよさそうです。

事業内容が不明瞭

㈱〇〇建設や△△設備工業㈱のように、社名からある程度事業内容がイメージできる会社というのが昨今では少なくなりました。

 

横文字の抽象的な社名だけでは、外部の人間からすると一見何をやっているのかよく分かりません。

 

事業内容を明確に伝えることは銀行の信用を得るために必須ですので、ホームページや会社パンフレット、場合によっては事業計画なども提出して事業の実態をアピールした方がいいでしょう。

最初は個人名義で、軌道に乗ったら法人に切り替えがオススメ

今回は法人名義で銀行口座をつくる際の審査が厳しくなっている件についての記事なのですが、これから風俗営業や性風俗特殊営業を開業しようという人は、よほど大きな初期投資をもって大規模なビジネスとして始めない限り、最初は個人名義で許可を取って営業を開始すればいいと思います。

 

そして、事業が軌道に乗った頃に法人を設立し、準備ができたタイミングで許可を法人名義に切り替えればいいです。

 

最初から法人を設立したはいいけれど、銀行口座がつくれない等の障害によって事業計画が遅れたり狂ったりすることを考えれば、その方がスムーズです。

 

 

個人で許可を取っても、営業を途切れさせることなく後で法人名義で取り直すことは可能です。
※お店の中を勝手に改装していたり、現状の許可そのものに影響を与えるような事態になっている場合を除く

 

ただ、注意点としては法人名義で許可を取りなおす際、基本的に賃貸契約も法人名義で契約し直す必要があります。

 

したがって、個人名義で最初に賃貸契約を交わす際、自分が代表者の法人を設立した際はその法人で契約をまきなおしてもらえる旨の同意を得ておいた方がいいでしょう。

 

例え代表者が同じでも、法律上は個人と法人は別人格となります。

 

まともに法人名義で契約し直すと、新たに礼金などの初期費用をまるまる請求される恐れもありますので、事務手数料のみで賃貸契約を切り替えてもらえるよう、あらかじめ交渉しておいてください。

まとめ

今回は、法人名義で風俗営業や性風俗特殊営業を開業する際に、銀行口座開設がネックになることがあるという件についてお話させてもらいました。

 

新規で事業を始める際に個人か法人で迷っているという場合や、個人名義から法人名義に切り替えたいという場合はお気軽にご相談ください。

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