行政書士の松井です。
初期のころより増えたとはいえ、ポーカーブームはまだまだ上昇気流に乗っており、アミューズメントカジノ開業の相談も日々増えております。
思えば弊所HPでアミューズメントカジノについて詳しく取り上げだしてから5年程経過しており、過去の記事についても必要に応じて加筆修正を加えてはいるのですが、申請が出始めた頃とは肌感覚が違っている部分が生じているのも事実です。
そこで、今回はアミューズメントカジノやポーカーバー許可における最近の実情について書きたいと思います。
1号許可の必要性について
風俗営業としてアミューズメントカジノの許可申請が出始めた初期の頃、大阪府下では風俗営業の1号許可と5号許可を同時取得するのがデフォルトのような状態になっていました。
本来、アミューズメントカジノはゲームセンター等に該当する5号営業なので、法的には1号許可(キャバクラのような接待行為を伴う飲食店)がなくても営業できるのです。
しかし、警察からすると
「どうせアミューズメントカジノ特有の歓楽的雰囲気の中で従業員(特にバニーガールのようなキャストがいる店)も一緒に酒を呑んだり、一緒にカジノゲームを楽しむんだろ?それなら最初から1号営業も同時にとって合法的にやってくれ。」
というスタンスだったのだと思います。
実際、そのような歓楽的雰囲気の営業をするお店は多いと思いますし、1号許可も同時取得していれば堂々と接待行為ができるわけですから、同時取得はメリットもあるのです。
逆に、他府県においては1号許可の同時取得を認めないところが多いので、大阪府の同時取得は規制やコストも増える代わりに、営業の幅も広がりますので、営業者にとってメリットもそれなりにあると言えます。
ただ、最近では「基本的に1号も同時取得してね」という空気感はなくなっており、むしろ営業の内容に応じて必要な選択をしてくださいという、本来のあるべきスタンスに変わっていると感じます。
つまり、従業員が客と一緒にお酒を飲んだりゲームをしたりといった接待行為に該当する営業をしないのであれば、5号営業だけで申請しても何ら問題なく受理されるということです。
実際、弊所では割と早い段階から5号許可のみでアミューズメントカジノ開業を手掛けてきました(当然ながら事前協議の段階から営業内容を丁寧に説明して納得してもらっています)。
1号許可も同時取得となると、接待行為ができる代わりに
- 個室を作る際の最低面積要件が発生する(16.5㎡)
- 18歳未満を入場させられない
- 客室が外から見えてはいけない(窓にフィルムを貼る等)
といった制約が発生しますので、5号許可のみで営業したいという相談を多く頂いてきました。
ちなみに、勘違いをしている方が多いのですが、ディーラーがゲームの進行を務めること自体は接待行為ではありません。
ディーラー業務を接待とするのであれば、5号許可のみで営業する他府県は全て1号許可の無許可営業となってしまいますよね。
一方で、客と一緒にゲームをしたり、お酒を乾杯したりということは1号許可がないとできません。
ちなみに、初心者の客向けにディーラーがつきっきりになって一緒にゲームをやりながらルールを教える行為も、場合によっては接待行為とみなされる可能性があるので注意が必要です。
実際、事前相談の段階で、そういうことは接待行為に該当するのでやめてくださいねと釘を刺されたこともあります。
シンプルにディーラー業務をするだけであれば、現在は大阪府でも5号許可のみでアミューズメントカジノを開業することができます。
警察側の対応の変化
アミューズメントカジノ許可申請が出始めた当初であれば、前例が少ないことに加え、「賭博類似行為なので結局は賭博の温床になるのではないか」という疑いの目が向けられていました。
そのため、申請前の事前協議も時間がかかりましたし、現場検査の際も警察本部の方も必ず来るという対応が多かったように思います。
大阪市内であれば、浄化協会、署の担当者、そして府警本部からそれぞれ人が来てましたので、そんなに広くない店舗であればかなり人が密集していたこともありました(^^;)
最近では特段疑義が生じる内容でなければそこまで大勢が疑惑の目を向けながら現場を確認しに来るということはなくなりましたし、警察側もアミューズメントカジノというものにある程度耐性がついたのではないでしょうか。
賭博行為をしない旨の誓約書を要求されたり、チップの管理方法について確認されたりといった通常の風俗営業許可申請では見られない光景もありますが、健全に営業してくれるのであれば普通の5号営業と同じような扱いで審査を進めてくれるようになっていると感じています。
最近よく受けるご依頼者様の相談
弊所ではアミューズメントカジノ許可について、以前から相当詳しく情報を載せています。
恐らく全国どこの行政書士事務所のサイトよりも充実しているのではと自負しています。
風営業務に詳しくない他事務所が弊所のサイトを見て情報を得られるというリスクを加味したうえで、ご依頼者様の役に立つようにという思いでこの選択をしました。
実際、新人行政書士が「松井先生のサイトを見て勉強させてもらいました!」と謎の報告メールを送ってくることすらあります(情報盗むなら黙ってやってくれという感じですが笑)。
ですので、弊所にご相談に来られる方の中には、すでにけっこう知識がある状態の方も多いのですが、それでもほぼ共通して受ける相談があります。
それは、「いい物件がなかなか出てこない」ということです。
依頼者様と一緒に物件の内覧に行くこともあるのですが、私自身も「もう少し広ければ・・・」「形がもっとキレイだったら・・・」等と感じることも多いです。
そして何より、「広すぎず、狭すぎない、ちょうどいい坪数と賃料の物件を探すのが大変」という点です。
アミューズメントカジノは当然ながらポーカーテーブルを設置しますので、その分のスペースが必要ですよね。
ポーカーテーブルはだいたい横幅2m程あり、椅子も10脚程設置しますので、1台置くだけでも意外と圧迫感があるんです。
さらに、休憩してドリンクを飲んだりするスペースを作る場合が多いので、カウンターないしボックス席も必要となると、よくあるカウンターだけの狭いスナックの居抜き物件ではとてもじゃないですが広さが足りないわけです。
かといって、いきなり大箱を借りるのはリスクが大きい。
そうなると、「ポーカーテーブル3台+カウンター席」くらいの客室が取れる店舗を理想とされる方が多いのですが、そういったちょうどいい箱は人気物件ですので、なかなか空きが見つからないんです。
特に大阪のミナミでは、狭すぎるか、広すぎるかの二極化しているように感じます。
弊所では風営物件を積極的に探してくれる不動産業者と提携していますが、本当にタイミングが重要だなと感じます。
少し中心部からエリアを外せば、けっこうお得な物件も出てくるようですので、集客的な意味合いも含めて穴場となる出店エリアを探すのもいいかもしれませんね。
まとめ
以上、弊所が感じている最近のアミューズメントカジノ許可申請の実情をまとめてみました。
割と筆が進むままに書いたのですが、結構リアルな内容になっていると思います。
- 大阪でも接待行為をしないのであれば5号許可のみで申請可
- あからさまに賭博の疑いを向けられることはない
- 大阪の中心部はちょうどいい広さの物件を見つけるのが大変
ポーカーブームはまだまだ白熱していますので、これから開業を考えられている方に少しでも参考になれば幸いです。