大阪でキャバクラ・ラウンジの許可申請する際、店の構造に気を付けて!

ども、行政書士の松井です。

 

最近ではアミューズメントカジノや建物1棟貸しのゲームセンターの新規許可、ナイトクラブの全面リニューアルといった新人時代であれば怯えるような案件がどしどし入ってくるのですが、カウンターだけの小さなBARやスナック等の相談も全然OKです。

 

また、やはり案件数として多いのはキャバクラやラウンジ、ホストクラブ等の「社交飲食店」と呼ばれる風俗営業許可のご依頼ですね。

 

キャバクラやラウンジの許可というのは、風俗営業許可の最も基本的なものですが、そういったお店というのは当然ながら店舗ごとに構造設備が違いますよね。

 

綺麗な箱型の形もあれば、いびつな形をしているお店もある。

そういった営業所ごとの構造設備が風営法としてOKなかNGなのかは意外にも奥が深いのです。

 

今回は、そんなキャバクラやラウンジの許可申請のために物件を契約する際、「こんな構造の物件には注意してね」というポイントをあげていきたいと思います。

キャバクラ・ラウンジ許可の基本的な構造設備要件

まず、キャバクラ・ラウンジ等の社交飲食店営業許可における基本的な構造設備要件を確認します。

キャバクラ・ラウンジの構造設備要件
・客室の床面積は16.5㎡(和室の場合は9.5㎡)以上あること
ただし、客室が1室の場合は面積要件なし・客室の内部が外部から容易に見通すことができないこと・客室内に見通しを妨げる設備を設けないこと・客室の出入口に施錠の設備を設けないこと
ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口はOK・営業所内の照度(明るさ)が5ルクス超であること

・騒音又は振動の数値が一定の数値に満たない要すること

文字にすれば薄っぺらく感じますが、実は上記を全て満たしている居抜き物件というのは非常に稀でして、大抵はどれかの条件に引っかかってます。
順番に見ていきましょう。

客室の床面積は16.5㎡(和室の場合は9.5㎡)以上あること

客室が1室のみと場合は最適面積要件はありませんので、VIPルーム等の別室がないキャバクラやラウンジであれば面積は気にする必要はありません。

 

ただし、「部屋」としての空間がなくても、店の構造(形)が極端なL字やRだったりすると、後述する「見通しを妨げる設備を設置しない」の要件に抵触すると指摘されます。

 

その場合、見通せないのであればL字の客室を分割して2室の申請にすれば問題なく通るのですが、2室に分けると「1室あたり16.5㎡(和室は9.5㎡)」という要件にひっかかるんですね。

 

16.5㎡って意外と広いんですよ。通常の規模のお店の場合、客室部分だけを2分割すると各々16.5㎡ずつ確保できないケースが非常に多いです。

 

これを説明すると、「2室に分けるといっても申請上だけの話で、実態は1室じゃないか!」と言われることがあります。

 

はい、まさにおっしゃる通り(^^;)

 

ただ、その「申請上の話」が重要で、やはり行政の許認可手続である以上、書類として適法な形に持っていく必要があるんです。

そのあたりは警察もお役所のひとつということで、きっちりしています。

 

で、もし面積足らなくて分割できない場合はというと、客室にできなかった残りの部分は客室として使えないということになります。

 

そうは言っても「結局使うじゃないか」と警察から指摘されることもあり、「この部分は客室としては使いません」という誓約書を出さされることも。

 

ですので、広さが確保できない場合、あまりいびつな形の物件は契約しない方がいいでしょう。

客室の内部が外部から容易に見通すことができないこと

キャバクラやラウンジといった社交飲食店は、外部から客室が見えてはいけません。

 

そういうお店って客室に窓ってありませんよね?あってもフィルム等で目隠ししているはずです。

もし普通に窓があって外から丸見えなのであれば、その店は無許可かもしくは違法状態です(^^;)

 

  • ドアの隙間がけっこう空いてる物件で、隙間から客室見えている
  • 客室に窓がある
  • 事務所等の客室外に窓があるが、客室を隔てる壁が天井までないので上から見えてしまう

 

というのがよくあるケースです。

 

「窓はありますが、カーテンをつけといたらいいですよね?」と言われることが多いのですが、それでは検査に通りません。

 

カーテンというのは人為的に簡単に取り外しができてしまいますので、「フィルムを貼る」「ベニヤ板等をはめめこみ固定する」といったきちんとした処置が必要です。

 

ただ、外部から見えてはいけないのはあくまで「客室」だけです。客室というのは読んで字のごとく、お客さんが呑む場所。

 

つまり、厨房や事務所のみが外から見えていている場合は問題ありません。

客室内に見通しを妨げる設備を設けないこと

「見通しを妨げる」とは、高さが1m以上の物を指します。

つまり、客室内に設置するテーブル、椅子などすべての物品は高さ1m未満のものを設置してください。

 

よくあるのが油圧式で高さが上下できるカウンター椅子。

 

そういった椅子は検査時に一番高くした状態で高さを測られますので、どうしても油圧式の椅子を使いたいのであれば一番高くしても1m未満のものを選ぶ必要があります。

 

また、バーカウンターの高さも基本的に1m未満である必要があります。

 

居抜きで気に入った物件を見つけたのにカウンターの高さがオーバーしていた、という事例はよくありますので注意してください。

 

ただし、カウンターの設置場所によっては見通しを妨げるものではないと判断されるケースもあります。

 

例えば、客室の端っこにカウンターがあり、その奥は厨房のみといった構造。

そのようなつくりであれば、客室内の見通しを妨げるものではありません。

 

ただ、これについては判断が難しく、一概には言えません。

すべてケースバイケースで個別の事案ごとに検討する必要がありますので、要相談ですね。

客室の出入口に施錠の設備を設けないこと

客室に施錠することは許されません。

ですので、VIPルームをつくる場合でも、ドアに鍵がついていると検査に引っかかります。

 

もちろん、出入口のドアを開けたらすぐに客室といったお店の場合、店自体の出入口のドアに鍵がついていることは問題ありません。

むしろ防犯上必ず施錠しないとダメですよね。

 

ただし、出入口のドアが2重についているお店の場合、鍵はどちらかひとつだけしか設置できません。

両方に鍵がついていると、「客室に施錠していることと同じ」という認識になってしまいます。

 

2重扉のお店はそんなに多くないのですが、たまに遭遇します。

そのときは業者を呼んでどちらかの鍵を取り外してもらわないといけません。

営業所内の照度(明るさ)が5ルクス超であること

健全な営業を確保するためには営業所内を極端に暗くしてはいけないということで、照度規定が設けられています。

 

ただ、5ルクスという明るさは割と暗いので、一般的なキャバクラであれば5ルクスあれば十分な雰囲気になるのではないかと思います。

 

検査では照度計という照度を測る装置を使ってチェックされますので、弊所でも事前に照度計で店の明るさを確認しています。

 

照度が足りない箇所があれば、ワット数の大きい電球に変更してもらったり、場合によっては照明設備を増設してもらったります。

 

照度対策のおすすめは画像のような「ダウンスポットライト」と呼ばれるもの。

 

ダウンライトとスポットライトの中間のようなライトなのですが、これ便利です。

 

ダウンライトだと電球が天井に食い込んでいるので、光が広がりにくいんですね。

 

それに対して、このダウンスポットライトであれば、光が全体に広がりますし、角度も調整できますので照度が足らない箇所にピンポイントで当てることができます。

 

あと、重要なのが調光器(スライダックス)の設置は禁止されているということ。

 

キャバクラやラウンジ用の物件を借りると、大抵この調光器が設置されています。

調光器というのはつまみを回したり上下させたりして明るさを調整できるものなのですが、これは絶対NGです。

 

もし調光器がついている場合は、検査までに電気業者を呼んでスイッチに変更してもらう必要があります。

あくまでスイッチの「ON or OFF」のみの照明しか許されません。

騒音又は振動の数値が一定の数値に満たない要すること

これは、大音量で音楽をかける等の行為で近隣に迷惑をかけないようにするために規定です。

 

騒音又は振動の具体的な数値というのは都道府県によって異なります。

大阪府の場合、都市計画法の用途地域ごとに分け、さらに昼間・夜間・深夜という時間帯ごとに騒音の数値を定めています。

 

例えば、ミナミの繁華街のような商業地域においては「55デシベル」という数値が基準になります。

 

この数値も騒音計を使ってチェックされますの、あまり大音量の音楽を流さないようにしましょう(^^;)

キャバクラ・ラウンジの物件を契約する前に

以上がキャバクラ・ラウンジ等の社交飲食店の構造要件です。

 

特に見通しを妨げる設備かどうかについては、ケースバイケースであり、担当の検査官によって判断が異なることも大いにありえます。

 

万が一検査に引っかかるにしても、椅子やテーブルだけ変更すればいいという程度であれば経済的損失はある程度までに抑えられます。

 

しかし、店自体の構造に問題があるとなれば莫大な金銭的・時間的費用の損失となってしまいますので、本契約を済ませる前に専門の行政書士に相談した方がいいです。

 

いや、これはマジですよ。

別に僕じゃなくていいですから、誰か専門の先生には必ず相談してください。

 

今回は構造要件に絞ってのお話でしたが、保全対象施設(学校や病院等)から一定の距離内にあることが発覚すれば検討の余地なく不許可になってしまいますからね。

 

風営法の申請は本当にリスキーだなと常々感じます。

 

★保全対象施設については、こちらの記事を参考にしてください。

大阪府の営業可能地域(風俗営業)

 

不動産屋は物件を契約して欲しいがために「大丈夫ですよ」「前もここで許可取れてますから」等と適当なこと言って契約させようとしますが、あまり信用しちゃダメですよ。

 

そもそも以前に許可が取れても今取れるかは別の話です。

解釈や運用も昔とは変わっていますし、「前行けたから今回もいける」という考え方は僕らにはないですからね。

まとめ

今回は、キャバクラやラウンジの許可を取るために今から物件を探すという方を意識して、お店の構造要件にスポットを当てて書いてみました。

 

繰り返しになりますが、契約してから許可が取れない物件だと気づいても遅いですので、物件選びは専門家に相談しながら慎重にやっていきましょう。

 

弊所の場合、「大丈夫かどうか気になるので、物件を契約する前に一度一緒に内覧して欲しい」という相談して頂ければ喜んでお手伝いさせて頂きます。

 

初回相談無料ですので、ご連絡を頂いて現地待ち合わせでも大丈夫です。

※あまりに遠方の場合は交通費等がかかる場合がありますので、ご相談ください。

 

以上、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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