ども、行政書士の松井です。
先日、東京でインターネットカジノ(以下、インカジ)経営者がバカラ賭博をした疑いで逮捕されました。
このニュースを受けて、アミューズメントカジノを経営している人から「うちみたいな店にも締め付けが厳しくなるのではないか」といった不安の声が寄せられました。
結論から言うと、今回のインカジ摘発は常習賭博の容疑ですので、風営法を遵守した「アミューズメントカジノ」を経営している限り、怯える必要はありません。
ただ、ちょっと論点を勘違いされてる方が多そうだったので、少し解説したいと思います。
今回のインカジ摘発は風営法の無許可営業とは関係ない
今回摘発されたインターネットカジノ店は、バカラ賭博をした疑いで逮捕されています。
常習賭博の疑いで逮捕された、インターネットカジノ店「チャンプ」経営者の千葉修一容疑者(50)は1月18日、台東区上野の店内に12台のパソコンを設置してバカラ賭博を生中継し、1ポイント100円のレートで客に金を賭けさせた疑いが持たれている。
出典:Yahoo!ニュース
この事件は「賭博行為」が焦点になっており、風営法には触れられていません。
つまり、無許可でアミューズメントカジノを経営したから逮捕されたということではないのです。
そもそも風営法の5号営業として営業するアミューズメントカジノは、増やしたチップを金銭その他あらゆる賞品・サービス等に交換することを禁止しています。
これは、金銭の交換は論外としても、賞品やサービスとの交換を認めてしますと、射幸心を煽る営業につながり、結局は賭博性が高くなる営業となってしまうことを懸念しているためです。
つまり、風営法の許可を取る取らないに関わらず、営業の内容として賭博行為に該当していたから逮捕されたということです。
もちろん、風営法自体にも賭博行為につながる恐れのある以下の行為は「遊戯場営業者の禁止行為」として定められています。
- 現金又は有価証券を賞品として提供すること
- 客に提供した賞品を買い取ること
- 遊戯の結果に応じて賞品を提供すること
つまり、ゲームセンターにしろカジノにしろパチンコにしろ、客がゲームを楽しむこと自体が目的であり、儲けたり賞品をゲットするための営業ではない、という想定です(パチンコ店は3点方式で事実上ギャンブルですが笑)。
ちなみに、ゲームセンターのクレーンゲームに関しては、800円以下の賞品に限り認められていますが、これはあくまで例外です。
アミューズメントカジノが賭博の疑いをかけられないために
というわけで、現在風営法の許可をきちんと取って営業しているアミューズメントカジノについては、当然ながら賭博行為は論外で、単純に「カジノゲームを楽しむ場所」としての営業権が与えられています。
ただ、現実問題として警察は「アミューズメントカジノという体裁をとっていても、結局は賭博の温床となる可能性がある」という厳しい目を多少なりとも向けているという側面もあります。
実際、許可を取った後も立入が入ることもあるでしょう。
そこであらぬ疑いや面倒な指示処分を出されて、その後も目をつけられるということを避けるために、「この店はきちんとしてそうだな」と思ってもらい、さっさと帰ってもらうための対策をしておくことをオススメします。
警察目線で突っ込みやすいのは、以下のような項目だと思います。
・店舗トーナメント優勝者には全国大会などのへ旅費負担をする旨を謳っていないか?
・上記のような文言のあるポスター等を店内に掲示していないか?
・従業員名簿はきちんと備え付けているか?
最後の従業員名簿についてはアミューズメントカジノのみならず、キャバクラやデリヘルなど他の風俗事業と共通です。
現実として、上記に挙げたような行為は現場の営業者からすると「その程度のことはどこもやっている」と思われるかもしれません。
しかし、残念ながら明確に違法行為であり、なにより警察としても現認してしまった以上は嫌でも追及せざるを得ないということを理解してください。
まとめ
今回は、インカジ逮捕の事件のニュースを引き合いに、アミューズメントカジノについても派生して書いてみました。
度々違法カジノの摘発事件が報道されるたびに、クライアントから不安の声が寄せられるのですが、一言で言えば「きちんと許可を取って、賭博もしてないなら問題なし」ということです。
あくまで逮捕されているのは「賭博」をしている闇カジノですから、許可を取って堂々と営業しているアミューズメントカジノには本来関係ない話なのです。