キャバクラ無許可営業でユーチューバーの女が逮捕された事件について

ども、行政書士の松井です。

 

歌舞伎町のキャバクラが無許可営業で実質的経営者が逮捕されたというニュースがありました。

 

今回はこの件について思うところを書きたいと思います。

無許可営業と名義貸し

無許可営業で社交飲食店が摘発されるというのは繁華街では日常茶飯事なのですが、今回の店はオーナーが自称カリスマキャバ嬢としてユーチューバーとして活動していることもあって注目されています。

 

 無許可でキャバクラ店を営業したとして、警視庁は経営者の渚(なぎさ)りえ(32)=東京都新宿区西新宿5丁目=と従業員の渡部圭介(36)=東京都中野区東中野4丁目=の両容疑者を風俗営業法違反(無許可営業など)の疑いで逮捕し、18日発表した。

渚容疑者は「桜井野の花(さくらい・ののか)」名で活動する人気ユーチューバーで、美容整形やキャバクラ業界などに関する動画を配信している。

同庁によると、渚容疑者は1月21日、新宿歌舞伎町1丁目のビルで無許可でキャバクラ店「桜花(おうか)」を営業した疑いがある。

出典:朝日新聞DIGITAL

 

逮捕された渚りえ容疑者は、今年2月に警察の立入を拒否したとして、捜査員が店のドアを破壊して強制捜査に踏み切ったという事件でもニュースになっていましたね。

 

以前の記事でその件にも触れたことがあります。

 

 

「無許可で逮捕」とニュースに出ていますが、この店は許可自体は取っているようです。

 

ただ、経営者の渚りえ容疑者自身の名義ではなく、同時逮捕された従業員の渡部圭介容疑者の名義で許可を取っていた。

 

つまり、本来は渚りえ名義で許可を取らないといけないので、渚りえ容疑者=無許可営業。

 

渡部圭介容疑者については、自分が経営者ではないのに許可を取るために名前を貸した=名義貸しの罪に問われているということになります。

 

ちなみ、無許可営業・名義貸しともに同じ罪の重さです。

 

風営法第49条第1項
2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 

また、上記の罪を犯した人は、5年間は自分の名前で風俗営業許可が取れません。

 

実際のところ、業界としては今回の名義貸しに該当するような営業は珍しくありません。

 

実質的経営者がいても、賃貸契約や許可の名義は従業員の名前で取得させている店は多いです。

 

もちろん違法ではありますが、許可の名義人が「自分が経営者です」と言えば外形上だけでは分かりませんし、行政書士もそこを敢えて疑うということはしないものです。

 

ただ、警察もバカじゃありませんので、今回の事件のように本気で捜査すれば実態は簡単にめくられてしまうでしょう。

そもそも警察に目をつけられた時点で厳しい

ハッキリ言いますが、警察だって名義貸しが横行していることは分かり切っています。

 

ただ、大量に処理しないといけない許可申請に対して、ひとつひとつ「この申請者は本当に実質的経営者なのか?」と調べている時間も人員もありません。

 

なので、要件を満たしておれば許可自体は一旦出ます。

 

しかし、今回の事件のように、何か問題が起きて警察の捜査が入ったタイミングで全てバレてしまうというわけです。

 

そもそも、今回逮捕された渚りえ容疑者は、今年2月に「花音」という同じ歌舞伎町のキャバクラで立入りを拒否したという時点で、警察から盛大に目をつけられています。

 

今回の「桜花」の無許可営業が明るみになったのも、2月の事件の延長線上にあったわけです。
※花音と桜花が物理的に別店舗なのか、2月の事件の後に屋号を変えたのかは不明。

 

つまり、警察からすれば「本気になればいつでも潰せる」のだから、目をつけられるようなことをした時点で芋づる式に問題が明るみになってしまう伏線は当初からあったということです。

 

よくクライアントから「こういう営業方法でも大丈夫ですか?」という、グレーな(場合によってはほぼブラックな笑)質問を受けます。

 

もちろん内容にはよりますが、ひとつ言えるのは、「警察から目をつけられるリスクを冒してでも、それをやるメリットがありますか?」ということです。

 

警察は「この店は要注意だ」と判断すれば、何度も立入に来ます。

 

「この前来たばっかりなのに、また立入が入った」という場合、何らかの理由で「健全な営業ではない」と疑われている可能性があります。

 

逆に、許可を取ってから数年経つけど立入りなんて一度も入ったことがない、という店もあります。

 

運やタイミングもありますが、警察から目をつけられるようなことがないに越したことはありません。

まとめ

今回は、歌舞伎町でユーチューバーとしても活動する女が経営するキャバクラが無許可営業で摘発された事件について、風営法専門の行政書士として思うところを書いてみました。

 

素直に立入りに応じなかったことがきっかけで、2度も逮捕されて無許可営業と名義貸しまでまくられるという最悪な結末になりました。

 

  • 警察は敢えて泳がせている
  • 本気になったらいつでも実態は把握できる
  • そうならないために、目をつけられないように注意することが最も重要

 

営業者の方は、この3つを頭の片隅に入れておいてもらえればと思います。

 

 

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