ども、行政書士の松井です。
こんなニュースを見かけました。
私服警官に「居酒屋どうですか」 運営会社を風営法違反の疑いで書類送検 福岡
内容としては、午前0時以降に居酒屋スタッフが客引きをして逮捕されたというものなのですが、居酒屋の客引きで風営法違反??と思われるかもしれません。
夜に繁華街を歩いていると「居酒屋お探しではないですか?」とめちゃくちゃ声をかけれます。
まぁ僕はキャッチは基本ガン無視なのですが、しつこくついて回られるとイラつきますよね(^^;)
じゃあ、そもそも居酒屋のキャッチ=客引きはどこまでが合法で、どこからが違法なのでしょうか?
飲食店の客引きは風営法で規制されている
今回紹介した福岡の客引きニュースですが、ポイントとなるのは「午前0時以降に」というところです。
キャバクラなどの客引きならともかく、居酒屋などの飲食店の客引きが風営法違反になるというイメージはあまり沸かないかもしれません。
しかし、風営法では飲食店営業者の深夜における客引きを禁止しているんです。
まず前提として、キャバクラなどの風俗営業者は客引きをしてはいけません。
客引きをするために道路なで通行人の前に立ちふさがったり、つきまとうこともNGです。
そして、風俗営業者以外の「飲食店を営む者」についてもこの規定が準用されており、読み替えるとこのような条文になります。
飲食店営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。
1 当該営業(深夜における営業に限る。)に関し客引きをすること
2 当該営業(深夜における営業に限る。)に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。
4 営業所で午後10時から翌日の午前6時までの時間において18歳未満の者を客に接する業務(国家公安委員会規則で定める営業に係るものを除く。)に従事させること
5 午後10時から午前6時までの時間において18歳未満の者を営業所(国家公安員会規則で定める営業に係るものを除く。)に客として立ち入らせること(保護者が同伴する18歳未満は除く)。
6 営業所で20歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。
第1号と第2号の()内を呼んで頂ければわかるように、深夜における営業での客引き等が禁止されています。
風俗営業者は時間に関わらず客引きはできないのに対して、通常の飲食店であれば午前0時以降の客引きのみが風営法違反となるわけですね。
今回のニュースで取り上げられた福岡の居酒屋は、この部分に違反したことで逮捕されたということです。
では、飲食店は午前0時以前に客引きをやりたい放題なのか?と言いますと、そうではありません。
なぜなら、客引きを禁止しているのは風営法だけではないからです。
客引きは条例違反となる場合も
風営法とは別に、各地方自治体が制定する条例で客引きを規制していることが多いです。
大阪市の場合だと、「大阪市客引き行為等の適正化に関する条例」というものが制定されており、風俗営業者かどうかや時間等に関わらず、客引きに関する規制が定められています。
内容と簡単にまとめると、
・公共の場所で、拒絶の意思を示している者に対して客引きは禁止
・道路に立ちふさがる、つきまとう、路上にたむろする等の通行を妨げるのは禁止
・客引き禁止区域においては、拒絶の意思に関わらず客引きは全面禁止
・客引き禁止区域であっても自店舗の直前で行う客引きは規制されない場合がある
という感じです。
ポイントは、基本的には「拒絶の意思を示している者」への客引きが禁じられるが、禁止区域においては拒絶に意思云々に関係なく一律で客引きが禁止されているというところです。
例外として、禁止区域でも当該土地又は建物の敷地の境界線から1m(隣接する道路の幅員が4m未満の場合は4分の1までの距離)までの範囲であればOK。
ただし、その場合も通行人が拒絶の意思を示している場合や、道にふさがる・つきまとう等の通行を妨げる行為と伴うやり方をした場合は違反となります。
禁止区域としてはキタやミナミの繁華街の一部が指定されています。
指導に従わない場合は5万円以下の過料が科せられる他、違反者の氏名や住所、店舗名称等が公表がされる場合があります。
過料の金額は安いですが、事業者としては違反を公表される方が嫌なのではないでしょうか。
まとめ
今回は、福岡で居酒屋の客引きが風営法違反で逮捕されたというニュースを引き合いに、飲食店の客引きと風営法、さらには条例との絡みを解説してみました。
居酒屋やキャバクラ、ガールズバー等、業種問わず客引きには色々と規制がかかりますので、気を付けてくださいね。
特にキャバクラやセクキャバの客引きは1発で営業停止処分確定ですので(^^;)