ども、行政書士の松井です。
最近のポーカーブームもあり、アミューズメントカジノの新規オープンが増えていますね。
元々はプレイヤーだった方が、カジノが好きすぎて自分で店を出してしまったという例もけっこう多いです。
そこで今回は、アミューズメントカジノを運営するにあたって注意すべき点をご紹介します。
今回はあくまで「運営」するうえでの注意点です。
許可を取得するにあたってのポイントは下記の別記事で解説していますので、そちらを参考にしてくださいね。
アミューズメントカジノの入場料とチップについて
アミューズメントカジノは、基本的に客が入場料とチップ料を支払い、ゲームを楽しむ→増えたor余ったチップは店に預けて退店、というのが基本的な流れだと思います。
そんなん当たり前やろ!と思われるかもしれませんが、知らず知らずのうちに違法な運営になってしまっている倍ケースがあるんですよ。
入場料
まず、入場料について。
入場料(エントランスフィー)を取ることは全く問題ありません。
注意点を強いて言うならば、受付できちんと料金表を明示していることくらいです。
一応、許可申請の際に「料金」と「料金の表示方法」を申請書に記載しますので、細かい担当者だと現場検査や許可後の立入りの際に申請の内容通りになっているかをチェックされたりもします。
チップ
次に、チップについて。
チップがなければ客は遊べませんので、もちろん料金をもらうことは合法です。
$60=3000円みたいな感じですよね。
注意点としては、客が退店する際にチップを客が持って帰ることのないように徹底してください。
風営法第23条では、遊戯場営業者の禁止行為として「遊戯の用に供する玉、メダルその他これらに類する物を客に営業所外に持ち出させること」と記載されています。
パチンコ屋でも玉やメダルを持って帰ることは禁止されていますし、ゲームセンターのメダルゲームで使うメダルも本当は持って帰ったら違法なんです。
したがって、アミューズメントカジノのチップも同様。
チップは客に購入させるものではなく、あくまで貸し出しているだけということを理解してくださいね。
アミューズメントカジノでチップの預かり証を発行できない理由
ここまでの話で、チップを客が持って帰ったら違法だということは分かりました。
となると、当然店が客のチップを預かっておき、次回来店の際に再度渡して遊んでもらうということになります。
ここで、「誰のどれだけのチップを預かっているか」をどのように管理するか?という問題が出てきます。
預かっているチップの料を間違ってしまうとトラブルの元になりますし、店の信用問題に関わりますので、相当慎重にならないといけないところですよね。
ここで注意して頂きたいのは、チップの預かり証を発行すると違法になるということ。
風営法では「遊技球等を客のために保管したことを表示する書面を客に発行すること」が禁止されています。
例えば、「会員 田中太郎様 〇月〇日 預かり残高$2000」というような内容が記載された紙を発行してはいけないということです。
ここでのポイントは、「書面」を発行してはいけない=つまり書面ではなく他の手段であればOKということです。
またまたパチンコ屋を例に出すと、ほとんどの店は会員になると貯玉ができて、ICカード使って好きな時に引き出せるというシステムですよね。
あれはICカードという電子機器(書面ではない)の会員番号と店のデータを紐づけて、誰がどれだけ貯玉しているかを管理しているので、合法なんです。
営業所ごとの会員カード等を利用して当該営業所内のコンピュータ等において当該会員が獲得した遊技球等の数量を管理する場合において、当該数量を当該会員カード等に電磁的方法その他の方法により記録することをしないものは、法第23条第1項第4号にいう書面には当たらない扱いとする。
この条文は、「貯玉の数量をカードに書き込むのはNGだけど、店側のパソコンで管理して、会員カードはあくまで紐づけのためだけに使うというのであればOKだよ」と言っています。
紙だったらNG、ICカードだったらOKという何とも不思議な法律ですが、そういうものだと諦めてください(^^;)
あ、ここで言っている書面というのは客に渡すものの話ですので、店側が台帳に記入して管理するのは問題ないですよ。
まぁ会員が増えてくるとExcelなどで管理しなければしんどいとは思いますが。。
アミューズメントカジノのチップを管理するアプリがあり、客側もこのアプリを使ってチップの残高を確認できるようになっているものがあります。
ただ、この件で警察と協議したところ「ただちに違法だとは言えないが、警察としてはそのようなアプリの使用はやめて欲しい」という回答でした。
その理由としては「容易に客自身でアプリの画面を印刷することができる。それであれば実質的に店側が書面を発行しているのと同じ効果になってしまう」という解釈になる恐れがあるからです。
このようなアプリが合法かどうかは、現段階ではグレーなイメージですね。。
増やしたチップでできること、できないことは?
ゲームで増やしたチップの使い道ですが、基本的にはそのチップを使ってさらにゲームをする以外には使えません。
- 景品と交換する
- ドリンクやフードと交換する
- 次回の割引券と交換する
- etc・・・
これらは全て違法になります。
アミューズメントカジノは風俗営業の5号営業許可となり、法律上はゲームセンター扱いです。
ゲームセンターでもメダルゲーム等で増やしたメダルを景品と交換することは違法ですので、それと同じ。
5号営業は「遊戯の結果に応じて賞品を提供してはならない」と法律で定められています。
こう言うと「クレーンゲームは遊戯の結果に応じて賞品を提供しているのでは?」と聞かれそうですが、これについては他の条文で以下のように定められています。
クレーンで釣り上げるなどした物品で小売価格がおおむね800円以下のものを提供する場合については、法第23条第2項に規定する「遊戯の結果に応じて賞品を提供」することには当たらないものとして取り扱うものとする。
クレーンゲームの景品は800円以下の「粗品」程度のものだと解釈されており、ニンテンドースイッチなどの高額景品は完全違法です(^^;)
アミューズメントカジノの年齢制限は?高校生も入れていい?
よく「アミューズメントカジノに未成年は入場させていいですか?」「高校生でも入れますか?」という質問を頂きます。
結論を言うと、法的には可能です。
繰り返しになりますが、アミューズメントカジノは風俗営業の5号営業許可であり、法的にはゲームセンターと同じ扱いです。
ゲームセンターについては各都道府県の条例で年少者の立入制限が定められており、それをクリアしていればOKということにはなります。
ちなみに、大阪府の場合は
- 16歳未満は19時~22時までの間は保護者の同伴が必要
- 22時以降は18歳未満立入禁止
と定めらています。
ただし、大阪府の場合は基本的に1号営業(社交飲食店)許可も同時取得する必要がありますので、1号営業の規制に合わせると実質的には18歳未満立入禁止となります。
さらに、年少者を立ち入らせることができると言っても、酒類の提供をすることは当然NGなわけです。
加えて、アミューズメントカジノというのは歓楽的な雰囲気の中でお酒を提供して営業するといったスタイルが多いと思います。
営業者が「高校生でも入場させます。でも酒類を提供しません。」といくら言ったところで、警察からすれば疑いの目しか向かないでしょうね(^^;)
※年少者立入の取り扱いについても申請書にきっちりと記載する必要があります。
まとめ
今回は、アミューズメントカジノを運営するにあたって注意するべき点をまとめてみました。
この業界に関わった経験のある方であれば聞いたことのある内容も多かったと思いますが、「なぜそうなっているのか?」という根拠まで知らなかったということもあるかと思います。
トラブルなく営業してもらうため、参考にして頂ければ幸いです。