ども、行政書士の松井です。
意外?にも定期的に新規のお問い合わせを頂くのが、ゲームセンターやアミューズメントカジノに関する内容です。
特にアミューズメントカジノに関しては、「他の事務所で断られた」、「もしくはできそうにないので頼りない」といった理由でうちに聞いてくる方が多いですね。
というわけで、今回はアミューズメントカジノの許可に関して知っておくべき法的知識を解説したいと思います。
アミューズメントカジノは1号と5号許可の両方が必要
まず、アミューズメントカジノの位置づけとしては、風俗営業の5号営業が基本となります。
つまり、カジノという名はついても法的にはゲームセンターと同じ扱いなんですね。
では、5号営業の許可だけ取れば営業できるのかというと、そうではないんですよ。
大阪府では、アミューズメントカジノを開業するにあたって、風俗営業の5号許可に加えて、1号許可も同時に取得しなければならないケースがあります。
1号許可というのはキャバクラやラウンジみたいな接待飲食店に必要な許可ですね。
キャバクラは風営法用語で言うと1号営業の社交飲食店という種別になります。
で、これ読んだらだいたいこう思うはずなんですよ。
「なんでアミューズメントカジノやるのに1号許可が必要やねん!お姉ちゃんが横でお酒ついでくれるわけちゃうやんけ!」
たしかに一般的なキャバクラのような営業を連想すると、ちょっとイメージわかないかもしれないんでけど、風営法の考え方では「接待行為があるかどうか」に注目するんですね。
アミューズメントカジノはバカラやブラックジャックといったゲームを楽しむ際、必ずディーラーが存在しますよね。
このディーラー業務のやり方や、その他店舗運営の方法によっては「接待行為がある店」とみなされる場合があります。
単純にディーラーが「ゲームの進行をするだけ」であれば、これは接待行為ではありませんので、1号許可は必要ありません。
しかし、ディーラーがお客さんとルールを教えながら一緒にゲームをしたり、プレイングディーラー(ディーラー業務をしつつ自らもゲームに参加するやり方)をする場合は接待行為とみなされてしまいます。
また、アミューズメントカジノといえばバニーガールのお姉ちゃんがいるお店も多いですよね。
そういった女の子のキャストがお客さんと一緒にゲームをしたり、一緒にお酒を呑んだりといったサービスが提供される場合も、「接待行為が行われる歓楽的雰囲気のお店」として、1号許可が必要になります。
このように5号許可に加えて1号許可も取得するという大阪府独特の慣習。
確かに手続や制限も増えてしまいますが、悪いことばかりではありませんよ。
だって、1号許可があれば堂々とバニーちゃんと一緒にゲームを楽しんでもらうこともできますから。
逆に、他府県で1号許可も同時に取りたいと言っても、却下される場合が多いと思います。
というわけで、大阪でアミューズメントカジノを開業するにあたっては
接待行為(客と一緒にゲームをしたり飲食をする等)がある場合
- 風俗営業1号許可
- 風俗営業5号許可
- 飲食店営業許可
この3つの許可が必要。
歓楽的雰囲気や接待行為が一切なく、ディーラーは単純にゲームの進行を行うのみだという場合
- 風俗営業5号許可
- 飲食店営業許可
上記2つの許可が必要ということになります。
アミューズメントカジノの許可は早めに準備するべき理由
上記のとおり、アミューズメントカジノは風俗営業に関しては5号許可(場合によっては1号許可も)が必要です。
キャバクラのように1号許可だけだと通常は署の判断で決裁がおりますが、5号営業に関しては警察本部で決裁がおりますので、基本的には申請前に事前協議が必須となります。
事前協議の内容は全て署を通じて本部にいき、その後回答がまた署を通じて返ってくるという流れ。
何が言いたいかというと、こちらが投げた「こんな感じで申請しようと思うんですけど、いいですか?」っていう相談に対して、回答が返ってくるのが遅いんですよ。
ましてや、「賭博の温床となる可能性がある」とみなされがちな業種ですから、警察の判断も慎重になるわけです。
署に出した図面やら添付した書類が郵送で本部に送られて、そこから検討されますので、物理的に仕方ない部分もあるんですけど、基本的には返事が返ってくるのが1週間後とかだと思っておいた方がいいです。
1回で済めばいいですけど、たいていの場合「ここはもう少しこうしてくれ」という指導が入りますので、それを是正して再度協議書類を提出・・・となるとこの時点で2週間近くかかる可能性がありますよね?
なので、5号営業など警察本部が絡んでくる案件に関しては、「いかになるべく早く申請までもっていくか」という部分もポイントになります。
こう言うと
「お前プロなんだから1回の協議で終わるようにしろよ」
って思われるかもしれません(笑)
もちろん、僕も早く申請したいので事前協議はなるべく1回で終わるようにします。
しかし、営業者さんの「こういうお店にしたい」という理想を全部突っ込むと、やはりどこかしら法的に突っ込む余地ありな仕上がりになっちゃうわけです。
そこについて僕が「いや、相談1回で終わるようにこうしときましょ」って無難なコンサルするのは簡単ですよ。その方が楽だし。
でも、せっかくお店出すんだから、なるべく要望叶えてあげたいじゃないですか。
当然、そこはどう頑張っても法的に絶対通らないっていう部分は別ですけど、僕は可能な限り営業者さんの理想に近い内容で折り合いをつけるための協議をするっていうのが基本的なスタンスです。
アミューズメントカジノの営業時間は?未成年者も入れていい?
アミューズメントカジノっていう名前に惑わされて、「朝まで営業できるんですよね?」って聞いてくる方いるんですけど、風営法の5号営業ですから午前0時までが基本です。
条例で決められた地域に限って午前1時まで可能になります。
また、「ゲームセンターと同じなら年少者も客として入れていいですか?」って聞かれることも多いです。
5号営業のみで営業するパターンであれば、条例による年少者の立入制限の範囲内であればOK。
ちなみに大阪府の場合を例にすると、午後7時以降は16歳未満の者は保護者同伴でなければ入店禁止、午後10時以降は18歳未満の者は入店禁止と条例で定められています。
ただし、酒類の提供をする場合は、未成年者には提供しないように注意が必要です。
一方で、1号許可も同時取得する場合は、18歳未満は入店禁止となります。
1号許可=キャバクラやラウンジ等の許可ですから、18歳未満の客は入店させてはいけません。
以上のように、法的には
- 5号許可のみ=年少者もOK
- 1号許可+5号許可=18歳以上であればOK
となります。
アミューズメントカジノは深夜酒類営業の届出で朝までできる?
アミューズメントカジノの法的な位置づけを説明し、そこから営業時間の制限なども理解してもらった後は、たいていこの質問されます。
「じゃあ、深夜酒類営業の届出も一緒にすれば朝までカジノ営業できるんじゃないですか?」
結論から言うと、できません。
というか、風俗営業許可と深夜酒類営業の届出は、その特性上両立できないんですよ。
風俗営業は基本的に0時まで接待行為やゲームセンター(アミューズメントカジノ)営業ができる。
それに対して、深夜酒類営業の届出をしたお店は朝までお酒を提供する営業ができる。
そう、深夜酒類営業は深夜に何をしてもいいのではなく、お酒を出してもいいという“だけ”なんです。
というわけで、深夜酒類営業の届出は風俗営業の営業時間延長のツールにはなり得ないということですね。
これはアミューズメントカジノに限らずキャバクラでもラウンジでも麻雀屋でも同じですよ。
まとめ
今回はアミューズメントカジノについて書いてみました。
必要な許可の種類やお客さんからよく質問される内容を紹介したのですが、大阪府でのアミューズメントカジノは5号許可のみでいくか、1号許可+5号許可でいくかの的確な判断ができる行政書士が意外と少ないです。
両方取れば営業スタイルの幅が一気に広がるというメリットがありますが、一方で許可要件が増える=制限も多くなるというデメリットもあります。
大阪府警との事前協議もありますので、なるべく早めに動くようにしてくださいね(^^)