そろそろ梅雨の気配ですね・・・この時期になると日本を出たくなる行政書士の松井です(笑)
というわけで、今回は、僕が実際にお店に現地調査に行った際、「このままでは届出ができないな」と判断した実際の事例を具体的にご紹介します。
基本的には法律で定められた構造要件を満たさないお店ということになるのですが、実際に具体的な事例でお話した方が分かりやすいかと思いますので、書いてみたいと思います。
事例①カウンターが高すぎる
これ、一番多いです。
風営法では客室内の見通しを妨げる設備の基準として「1m以上の高さ」を規定しています。
“客室内”ですから、従業員の待機場所とかトイレとかにはいくらでも高いもの置いてもらっても大丈夫なんですけど、客室つまりお客さんが呑む場所には1m以上のものを置いたらダメなんですね。
たまにカウンターイスとかでも背の高いやつがありますけど、あれも対象です。
特に油圧式の高さを調整できるハイチェアみたいなやつとかだと、一番高くした状態が基準となりますので、そうなるとたいがい1m以上になってしまいますね(^^;)
まぁ、イスだったら取り替えたらいい話なんですけど、カウンターって固定されたものだし変えられないじゃないですか?
工事入れたら変えれるんでしょうけど、費用もかかりますしビルオーナーの承諾もいりますから、あまり現実的ではないわけです。
「先生、バーやるんでお店契約しました!見に来てください!」
って言われて行くと、カウンターが1m10㎝くらいあるとか、めっちゃ多いんですよね。
そうなると、カウンター自体が客室内の見通しを妨げる設備という扱いになり、深夜酒類提供飲食店の構造要件を満たさないことになります。
「カウンター 高さ1.1m」って図面に書いて警察署に書類を持って行っても「はぁ?」って言われるだけですからね(笑)
一応、店全体の構造によっては例外的にカウンターの高さが1m以上でもOKな場合があります。
ただ、担当の警察官の主観もかなり入ってしまいますので、基本的にカウンターの高さは1m未満の物件を選ぶようにしてください。
ていうか、契約してからでは遅いんで、契約前に連絡ください(笑)
事例②面積要件を満たさないVIPルームがある
カウンターだけのバーとかならあまり関係ないんですけど、少し広めの店舗とかだと、奥に個室がある場合があります。
個室をつくること自体はいいんですけど、客室が2室以上の場合は「1室あたりの床面積が9.5㎡以上必要」という規定がありますので要注意です。
ちなみに、キャバクラみたいな風俗営業1号許可の場合、1室あたり必要な面積は16.5㎡になります。
余談ですが・・・
「先生、このVIPルーム、従業員待機室ってことで通してもらえませんか?」
って言われることもあるんですけど、1個言わせてください。
高そうなシャンデリアにカラオケつきの部屋、客室より豪華な従業員待機室はさすがにバレますよ(笑)
事例③店舗の形がいびつすぎる
カウンター8席くらいだけのショットバーとかなら無縁な話なんですけど、ボックス席中心のお店なんかだと、たまにびっくりするくらいいびつな形をした店舗に遭遇することがあります(笑)
ぐにゃぐにゃ曲がってたり、極端なL字になっていたり、ところどころ丸かったり・・・。
構造がいびつなのも店の個性だし、差別化するにあたっては面白いと思うのですが、あんまり変な形だと、その構造自体が「客室内の見通しを妨げる」と判断されかねません。
特に近年、L字構造になっているお店に対する判断が非常に厳しくなっています。
どういうことかと言いますと、L字になっていると死角ができますよね?それが「見通しがない」と判断されるわけです。
もちろん、そんなキレイな形のお店ばかりではありませんし、完全に正方形や長方形なんてことにはならないと思いますが、現実として大阪府、特に市内では厳しく見られるのです。
ただ、それもお店自体の広さだったり、全体的な要素も絡んできますので、L字だから絶対ダメというわけではりません。
それに、L字であっても、死角となる部分を別部屋として扱い、そこの面積が9.5㎡以上あれば問題なく受理されることもあります。
この構造で通るのか、通らないのか。経験による総合的な判断が必要な部分であり、行政書士の腕の見せ所でもありますね(^^)
まとめ
今回は、深夜酒類提供飲食店の届出をするにあたり、実際に僕が初めて現場に行った際に「これは通らないかもしれないな・・・」と判断した事例を紹介しました。
ただ、繰り返しになりますが、この記事に書いてるような構造のお店でも、総合的な判断としてOKだったこともありますので、一度相談して頂けるといいかと思います。