行政書士の松井です。
実は先日まで愛媛県に出張に行っておりました。
内容はアミューズメントカジノの申請。
クライアント様は、当初は地元の先生に相談したそうなのですが、音信不通になってしまったそうです笑
なんでも、愛媛県ではアミューズメントカジノの許可はまだ前例がないらしく、最初に電話をかけたときには警察も多少難色を示していましたので、地元の行政書士も経験がなく嫌がったのだと推測しています。
ただ、資料を整えて実際に対面で警察と事前協議をした結果、納得してもらえましたので現在は申請に向けて準備中。
弊所としても愛媛県は初の案件ですので、非常に楽しんでやらせて頂いております。
そこで、せっかく今回こういった機会がありましたので、愛媛県でのアミューズメントカジノをはじめとする風俗営業許可申請について書いてみたいと思います。
愛媛県での風俗営業許可申請のポイント
愛媛県は風俗営業の「種類」によって、許可を取るための「場所」の要件が大きく異なりますので、ここがポイントになります。
つまり、キャバクラとアミューズメントカジノでは営業できる場所の範囲が変わるんですね。
具体的には、
- 営業可能な用途地域
- 保全対象施設からの距離
が業種ごとに定められているので、愛媛県で風俗営業許可を取得するためには、まずはこれらを満たしているかどうか確認しなければいけません。
まず、愛媛県の条例では、原則として用途地域を以下のように定義しています。
第一種地域
第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域
第二種地域
商業地域
第三種地域
第一種地域及び第二種地域以外の地域
これらをもとに、風俗営業の種類ごとの場所の制限が設けられています。
下記の表でまとめてみました。
風俗営業の種類 | 禁止されている地域 |
第1号~3号及び4号(麻雀屋に限る)営業 | ・第一種地域 ・第二種地域のうち、保全対象施設の周囲30m(病院等は10m)以内 ・第三種地域のうち、保全対象施設の周囲50m(病院等は30m)以内 |
第4号営業(麻雀屋以外) | ・第一種地域 ・第二種地域のうち、保全対象施設の周囲50m(病院等は30m)以内 ・第三種地域のうち、保全対象施設の周囲70m(病院等は50m)以内 |
第5号営業(アミューズメントカジノはコレ) | ・第一種地域 ・第二種地域のうち、保全対象施設の周囲10m以内 ・第三種地域のうち、保全対象施設の周囲30m以内 |
また、表内の保全対象施設とは以下の施設を意味します。
- 学校(大学を除く)
- 図書館
- 児童福祉施設
- 病院等
と、これだけ見せつけられてもよく分からないと思うので、事例で考えていきましょう。
例えば、キャバクラを松山市の繁華街(大街道)で開業したいという場合。
キャバクラは第1号営業というものに該当しますので、表で言えば一番上を見ます。
そして、大街道の繁華街であれば大部分が第二種地域=商業地域となっているはずなので、保全対象施設の敷地から30m(病院等は10m)を超えている場所であれば、場所の要件は無事満たしているということになります。
また、アミューズメントカジノは第5号営業に該当しますので、表の一番下を見てください。
先ほどの例と同じく商業地域での開業となれば、保全対象施設の敷地から10mを超えていればOK。
10mってめちゃくちゃ緩い規制ですよね。前後左右のビルが保全対象施設でなければほぼほぼクリアしてすると考えていいでしょう。
このように、愛媛県条例では、営業する場所の用途地域によって制限の強さが変わりますので、まずはその場所の用途地域を調べることがスタートになります。
愛媛県でアミューズメントカジノを開業する際に注意すること
愛媛県では事例がない
このように、愛媛県では5号営業についての保全対処施設からの距離規制が緩いので、許可自体は取りやすいと思われがちです。
ただ、本記事執筆時点で事例がまだないということもあり、愛媛県警もアミューズメントカジノに対して相当警戒しています。
恐らく弊所が受任した案件が県内初のアミューズメントカジノ許可となる見込みです。
したがって、警察に対して「賭博行為は一切しない健全な営業内容である」ということが伝わるように、事前相談の段階から丁寧に説明した方がいいでしょう。
アミューズメントカジノはあくまでもポーカー等のカジノゲームを楽しむ場であるので、増やしたチップを金品その他一切の賞品・サービスを交換することはできません。
ドリンクチケットや次回のサービス券等との交換も違反になってしまいます。
また、5号営業許可では接待行為ができませんので、バニーガールのようなキャストと一緒にゲームを楽しんだりすることも違反になります。
さらに、今回の愛媛県警との事前協議の中で、「店のスタッフが横につきっきりでルールを教えるという行為も接待行為になる可能性がある」と指摘されました。
このあたりの解釈は都道府県によって異なると思いますが、愛媛県警は今のところ相当シビアな感じが伝わりましたね。
ちなみに、大阪府でアミューズメントカジノを営業する場合は、原則として1号許可と5号許可を同時取得する必要があります。
1号営業=社交飲食店なので、接待行為もOKということです。
ただし、1号&5号の同時取得をするというのは全国的に見ても相当珍しいです。
他の都道府県では基本的に2つ許可を取るというのはできないので、こういった運用は恐らく大阪府だけではないかと思います。
接待行為OKなので営業の幅が広がるというメリットがある半面、5号許可にはない1号許可の規制も増えるというデメリットがついてきます。
家主の承諾がもらえる物件が少ない
今回、物件探しの段階から相談を受けていたのですが、愛媛県でアミューズメントカジノとして使える物件を探すのに相当苦労しました。
何せ前例がないので、家主からすると
- 業態がよくわからない
- 賭博の温床にされては困る
という不安が隠せないのでしょう。
特に大街道の商店街は規約が厳しいのでアミューズメントカジノはほぼ無理なようです。
したがって、内覧の段階から家主に対して営業内容を丁寧に説明して、少しでも不安を軽減できるよう努めるべきですね。
「カジノ」という言葉を使ってしまうと、どうしても「違法賭博」というイメージを持たれてしまうので、説明の仕方は気を付けてください。
あくまでポーカー等のゲームを楽しめるバーであり、賭博行為をする場所ではないと伝えましょう。
まとめ
今回は、愛媛県でのアミューズメントカジノ許可について執筆しました。
- 愛媛県の条例は風俗営業の種類ごとに営業可能な地域が変わる
- 警察との事前協議は丁寧に行う
- 借りれる物件が少ないので、家主への営業内容の伝え方が大切
愛媛県で前例がないとはいえ、健全な営業をすれば法的には何の問題もない業種です。
また、弊所は今回の案件のように、関西以外でも出張対応可能です。
交通費は頂くことになりますが、全国的に最も厳しい大阪府で風営法許可申請のノウハウを蓄積しておりますので、必ずお役に立てると自負しています。
遠方の方もお気軽にご相談くださいね。