行政書士の松井です。
先日、アミューズメントカジノを改装してVIPルームをつくりたいというご相談を受けたので、これについて書きたいと思います。
ちなみに、アミューズメントカジノで個室を作ると警察署に事前相談に行く場合、けっこうな確率で「博打するための個室じゃないの?」と警戒されます笑
健全な営業をするのだから、狼狽えずに堂々と進めましょう(^^;
大阪府の場合は個室の面積に制限がある
結論から言うと、大阪府のほとんどの※アミューズメントカジノは、16.5㎡以上の広さを確保しなければ個室を設けることができません(そもそも客室が1室のみの場合は関係なし)。
他府県の場合は、特にそういった規制はなく、狭い個室でも作れます。
※「ほとんどの」と書いたのは、大阪府の中でも営業形態によっては5号許可のみで営業が認められ、面積規制がかかっていないお店もあるからです。
面積規制については後述。
その理由を順番に説明しますね。
アミューズメントカジノは基本的に風俗営業の5号営業と呼ばれる許可です。
この5号許可における構造設備要件は以下のとおり。
・客室の内部に見通しを妨げる設備を設けないこと。
・善良の風俗又は清浄な風俗環境を害するおそれのある写真、広告物、装飾その他の設備を設けないこと。
・客室の出入口に施錠の設備を設けないこと。ただし、営業所外に直接通ずる客室の出入口についてはこの限りではない。
・営業所内の照度が10ルクス以下とならないように維持されるため必要な構造又は設備を維持すること。
・騒音又は振動の数値が一定の数値に満たないように維持されるための必要な構造又は設備であること。
・遊戯料金として紙幣を挿入することができる装置を有する遊戯設備又は客に現金若しくは有価証券を提供するための装置を有する遊戯設備を設けないこと。
この中には、客室の面積に関する規制はありませんよね?
つまり、上記の条件さえ満たして居れば、狭い個室でも作ることは可能です。
ただし!
大阪府の場合は警察の指導により、原則として、5号許可に加えて1号許可(キャバクラ等の社交飲食店の許可)も同時取得する必要があります。
この1号許可があることにことにより、
- スタッフと一緒にカジノゲームができる
- スタッフと一緒にお酒が飲める
等の接待行為ができるというメリットが生まれますが、1号許可独自の規制によりデメリットも生じます。
そのデメリットのひとつが「面積要件」です。
1号許可では「客室の床面積は1室あたり16.5㎡以上、和室の場合は9.5㎡以上(客室が1室のみの場合は除く)」という構造要件が定められています。
よって、基本的に1号許可と5号許可を同時取得する必要のある大阪府のアミューズメントカジノについては、この規制のおかげで16.5㎡未満の個室が作れないのです。
複数許可を持つ場合は厳しい方の要件が適用される
この風俗営業1号許可・5号許可の同時取得や、風俗営業許可と特定遊興飲食店営業許可の同時取得の場合等、複数の許可を持っている営業所の場合、基本的には両方の構造設備要件を満たしていることが営業を継続する条件になってきます。
例えば、風俗営業1号許可・5号許可の同時取得の場合
- 面積要件:1号=16.5㎡、5号=なし→16.5㎡必要
- 外部から客室が見える:1号=NG、5号=OK→NG
- 18歳未満の立ち入り:1号=NG、5号=OK(条例により年齢制限あり)=NG
といったように、基本的に厳しい方の要件を満たす必要があります。
このように、複数の許可を持つということは、できることも広がる半面、制限も多くなるということですね。
ちなみに、風俗営業許可と特定遊興飲食店営業許可の同時取得の場合、面積要件はもっと厳しいです。
特定遊興飲食店営業は客室1室あたり33.3㎡必要ですので、個室を新設するとなるとそれなりの広さを確保する必要があります。
まとめ
今回は、大阪府のアミューズメントカジノを例に出し、複数許可を持つお店にかかる規制についての考え方を書いてみました。
ちょっとややこしいかもしれませんが、メリット・デメリット両方あると考えて頂ければと思います。
もちろん、大阪府以外で5号許可のみで営業が認められているアミューズメントカジノに関しては、面積要件はありません。
ただし、既に許可を取って営業しているお店が改装して個室を作る場合、必ず事前に警察署へ事前相談に行く必要があります。
事前相談でOKをもらい、構造設備の変更承認申請、工事着工許可という流れで進めて行きます。
くれぐれも勝手に改装をしないようにだけ注意してください。
無承認変更ということで許可取り消しになってしまいます。
以上、ご参考になれば幸いです。