映像送信型性風俗特殊営業(ファンティア、マイファンズ等の風営法手続)

映像送信型性風俗特殊営業とは

映像送信型性風俗特殊営業とは、「専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むもの」というのが法律の定義です。

 

簡単に言うと、アダルト動画サイトの運営や、自作のアダルト動画や画像をネット上で販売する行為ですね。

 

映像送信型性風俗特殊営業の例
・アダルトサイト
・ファンティア、マイファンズ等のファンサイト
・ライブチャット
・アダルトアニメ、ゲーム
営業者自身でアダルトサイトを運営している場合は当然に該当するとして、近年ではFC2コンテンツマーケットのようなプラットフォームを利用してアダルト動画等の販売を行うケースが増えていますよね。
また、ファンティアやマイファンズ等で個人のアカウントを持ち、自身のファンに向けて自撮りのアダルト動画を販売するというビジネスも散見されます。
このように、自分自身でサイトを運営しているわけではないが、何らかのプラットフォームを利用してアダルト動画・画像を販売している場合は映像送信型性風俗特殊営業に該当するのかどうか?という問題が生じてきます。
結論から言うと、プラットフォームの規約によるが、届出をしておくのが無難です。
これはかなり微妙な問題で、様々なプラットフォームが存在する以上、警察からしても一律に「こうしなさい」とは言えないのが現状。
風営法は古い法律なので、個人で稼ぐ今の時代に追いついていないところがあり、このようなケースなんかはまさに典型例なんですね。
例えば、プラットフォームが投稿者からコンテンツを買い取り、販売者は自身ではなくプラットフォームであると言い切れるような規約になっていれば、届出義務があるのはプラットフォームのみだという結論に至るケースもあるかもしれません(あくまで詳細な規約の確認が必須ですが)。
ただ、自分自身が何らかの映像型のアダルトコンテンツを配信して対価を得ているのであれば、映像送信型性風俗特殊営業の届出はしておくべきだと考えます。
ポイントは、自分自身が販売者として営んでいるか?です。

ちなみに

アダルト案件のバナー広告をブログに張り付けて広告収入を得る場合(アフィリエイト)は映像送信型性風俗特殊営業には該当しません。

ただし、そのブログ自体でもアダルトコンテンツを販売している場合は除きます。

「性的好奇心をそそるため」のものかどうかについて

 

映像送信型性風俗特殊営業の定義は、前述のとおり「性的好奇心をそそるため」性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業です。

 

では、性的好奇心をそそるためのものとは、一体どんなコンテンツなのでしょうか?

 

法的には、客に見せる映像の中に以下のような内容がおおむね2割以上含まれている場合だと解釈されています。

 

① 衣服を脱いだ人の姿態で、次に掲げるもの
・大腿部を開いた姿態
・陰部、臀部又は胸部を誇示した姿態
・自慰の姿態
・排泄の姿態
・愛撫の姿態又はこれを連想させる姿態
・緊縛の姿態
② 性的な行為を表す場面で、次に掲げるもの
・男女間の性交又は性交を連想させる行為
・強姦、輪姦その他のりょう辱行為
・性交類似行為
・変態性欲に基づく性行為すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むもの

 

まぁどれを見ても明らかに性的好奇心をそそるものですね。

 

では、逆に「性的好奇心をそそる目的ではない」性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像なんてあるのでしょうか?

 

考えられるとするならば、芸術

 

ヌードデッサンなんかでも女性の胸部や陰部が生々しく描かれたものがありますよね。

 

しかし、作者は「これはアートであり、決して性的好奇心をそそるために作ったものではない」と主張するでしょう。

 

一方で、それを見た人がどう思うか、性的好奇心が刺激されるかどうは別の話。

 

芸術か、エロか。

 

ケースバイケースなので、ここで明確な線引きをすることは難しいですが、様々な角度から個別具体的に判断されるとしか言いようがありません。

 

そのような届出が必要かどうか微妙なものは、一度警察と事前協議をしてみることになります。

映像送信型性風俗特殊営業の届出をする流れ

届出の流れですが、弊所のご依頼頂く場合は以下のような流れになります。

 

①打ち合わせにて届出が必要な内容かどうか判断

②内容次第で警察と事前協議

③必要書類等の指示

④事務所の契約

⑤管轄の警察署へ届出(営業開始の10日前までに)

⑥届出確認書の交付

⑦営業開始

 

申請から許可まで2カ月近くかかるキャバクラ等の風俗営業許可と違い、性風俗営業の届出は営業開始の10日前までに届出をすれば大丈夫です。

 

無届で営業したら・・・
無届で映像送信型性風俗特殊営業を行った場合、6カ月以下の懲役若しくは100万円以下の罰金、又はその両方が課せられます。

 

上記の中で最も時間がかかる可能性が高いのが、④事務所の契約です。

 

映像送信型性風俗特殊営業の事務所選びについて

      映像送信型性風俗特殊営業は、営業の本拠となる事務所を届出しなければなりません。

       

      そう聞くと、

       

      「いやいや、パソコンで動画編集するだけなんだから自宅でできるじゃん。わざわざ事務所なんて借りずに自宅兼事務所でいいよ。」

       

      と思いますよね。

       

      もちろん、自宅兼事務所でもいいんです。

       

      自己所有の物件であれば。

       

      でも、賃貸だとややこしい。

       

      なぜなら、物件の所有者から使用承諾書をもらう必要がありますので、そこのハードルが高いんですよ。

       

      使用承諾書というのは、「この物件をあなたが映像送信型性風俗特殊営業の事務所として使用することを許可しますよ」という内容の書類。

       

      そして、賃貸で住んでいる方は、ほぼ全ての場合に契約の使用目的が「住居」となっているはずですので、家主からすると「性風俗」と名のつくワケの分からない営業のための使用なんか認めたくないという場合が大半です。

       

      ですので、自ずと自宅とは別の事務所を借りざるを得ないというわけですね。

       

      ちなみに、自己所有の場合でも一軒家ではなくマンションだと、管理規約でそういった使用は禁止されていることがほとんどだと思いますので、困難な可能性があります。

       

      ※正直なところ、マンションの管理規約の添付まで求められるかどうかは警察署や担当者次第なところがありますが、どのみち管理規約違反ですので、トラブルのもとになってしまう可能性がありますからね。

       

      そして、風営法の性風俗営業としての使用を認めてくれる=使用承諾書を発行してくれる物件というのが非常に限られています。

       

      ホテヘルやデリヘルとは違って、そこで作業するだけだからいいじゃないかと思うでしょうが、それでも家主からすると「性風俗」と名がつく時点でハードルが高いのは同じなんですね。

       

      ですので、映像送信型性風俗特殊営業としての使用がOKな物件を頑張って探さなければなりません。

       

      こういった風俗物件は、普通の住居物件ばかり扱う不動産屋はほぼ扱っていませんので、探してくれる不動産屋を見つけるのも大変だったりします。

       

      ちなみに、弊所では風俗物件でもガンガン探して紹介してくれる不動産屋と提携していますので、ご依頼頂いた場合はそこの担当者を直接ご紹介させて頂いております。

       

      当然ですが、紹介料等は一切頂きませんのでご安心下さい。

      サイトURLの提出について

       

      映像送信型性風俗特殊営業は「電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達」する営業です。

       

      この場合の電気通信設備を用いて~とは、インターネットで配信しますよねってことです。

       

      そして、届出書類にはサイトのURLを記載して提出しなければなりません。

       

      ですので、自身でサイトを運営する場合にはドメインを取得しているはずですので、サイトのURLを提出します。

       

      警察への届出の時点でサイトは完成されていなくても大丈夫ですが、ドメインの取得は完了しておく必要があります。

       

      また、プラットフォームを使って営業するという場合は、自身のアカウントのトップページのURLを提出すればOKです。

       

      ちなみに、少し前まではドメインの使用証明書類(営業者がドメインを使用する権限があることを疎明する書類)を求められることがありましたが、最近ではあまり求められません。

       

      大阪府でもここ数年でドメインに関する書類は求められなくなりました。

       

      ただ、地域や担当者によっては未だに添付を求められる可能性がありますので、その際は対応しなければなりません。

       

      注意

      映像送信型性風俗特殊営業は、サイトが複数ある場合はサイトごとに届出をしなければなりません。

      したがって、2つのプラットフォームでコンテンツを販売している場合、それぞれ別に届出をするということになります。

       

      運営にあたっての注意点

       

      映像送信型性風俗特殊営業の届出が受理されて営業を開始した後も、法令によってその運営方法に規制がかけれています。

      ①広告又は宣伝の規制

      条例で定められた広告又は宣伝を制限すべき地域においては、広告物(看板や貼り紙等)を表示してはいけません。

      また、人の住居にビラ等を配ることもできません。

      ②18歳未満の者を客としてはならない

      当然ですが、アダルトコンテンツなので18歳未満の者に販売はできません。

      ③年少者利用防止のための措置

      18歳未満の者が客となってはならない旨を文字や図形等を用いてわかりやすく表示しなければなりません。

      よくあるサイト閲覧時に18歳未満かどうか確認する分岐ボタンがイメージしやすいかと思います。

       

      また、年齢確認をしてID・パスワード等を付与するといった本人確認を行わずにコンテンツを販売する場合は、クレジットカード決済等の18歳未満が通常利用できない方法以外では代金徴収を委託してはいけません。

       

      さらに、年齢確認をしてID・パスワード等を付与するといった本人確認を行うか、クレジットカード決済等の18歳未満が通常利用できない方法で料金を支払う旨の同意を得るまでは、映像を配信してはいけません。

      ④変更届の提出

      届出後に営業者の住所が変わったり、ドメインが変わったという変更事項が発生した場合、変更から10日以内に変更届出書を提出しなければなりません。

      行政書士への依頼について

      映像送信型性風俗特殊営業の届出というもの自体、そもそも自分でできるのか?それとも行政書士に依頼するべきなのか?と悩まれている方もいると思います。

       

      安くない費用を支払って行政書士に依頼するメリットは何なのか?というところなんですが、ご依頼者の方が口を揃えておっしゃるのは

       

      1. 何度も警察に足を運んでストレスを受けなくていい
      2. 丸投げできるから時間を無駄にしない
      3. 営業までの道筋を最短で示してもらえるから楽
      4. 警察は教えてくれないし、恐いから関わりたくない←

       

      というメリットを感じらっしゃるそうです。

       

      特に4のように、提出先が警察というところで、丁寧に教えてもくれないし、対応も他の行政機関の窓口とは異なるという点が大きいように感じます(まぁ取締機関なので仕方ないのですが)

       

      弊所は風営法実務に特化した専門事務所ですので、ノウハウはもちろん、警察との折衝も数えきれないほどの実績があります。

       

      映像送信型性風俗特殊営業の届出をお考えの方は、ぜひ一度弊所にご相談ください。